ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

ダニエル・イノウエの宣誓の逸話は本当か、ウソをウソと見抜くことは難しい

ホノルル空港の正式名称が「ダニエル・K・イノウエ国際空港」に変わるという話が、ちょっと前にニュースになりました。

 

www.asahi.com

 

日本ではそこまで有名ではありませんが、日系アメリカ人初の下院議員、そしてハワイの英雄でもある方です。

 

ということで、元ツイートはのっけませんが、彼のこんな逸話がリツイートを集めておりました。

 

○第二次大戦で右腕を失った。

○日系アメリカ人初の上院議員になったとき、下院議長に「右腕をあげて宣誓を」といわれ、「議長、右手はありません。若き米兵として戦場に置いてきました」と返した

 

逸話は常に眉につばをつけているワタクシなので、今回のも調べてみましたが、まあ小姑のような細かい訂正になってしまいました。それでもよければお読みください。

 

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ダンキンドーナツで警官は無料になるのか、タダほど高いものはない

消防車がうどん屋にとまっていた話に関連して、ダンキンドーナツとアメリカの警察の話が話題になっていました。

 

 

アメリカの「ダンキンドーナツ」では、警察官には無料でドーナツを配っている、というお話。

 

とはいうものの、どうもその話は都市伝説ではないか、というツイートも見かけました。

 

 

さあ、本当のところはどうなんでしょう、という事で調べてみました。今回はお金も使って結構がんばったので、広めてもらえるとうれしいなあ。

 

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ヴォイニッチ手稿は解読されたのか、ロマンを食べたい

ヴォイニッチ写本の謎

ヴォイニッチ手稿というと、15世紀の謎の暗号のような本、ということで有名ですが、これをロシアの数学者たちが解読したのではないか、という話が出ています。

 

blog.livedoor.jp

 

久しぶりにまとめサイトなんかをソースに持ってきてみますが、ここのスレにもあるとおり、「こいついっつも解読されてんな」という感じがするもの事実です*1

 

というわけで、今回のこの話、どこまで真実味があるのかを調べてみました。しかし残念なことに、あんまりすっきりしたオハナシではありません。

 

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白鳥が必死に水面下で足をもがく初出はなにか、梶原センセイの戦後

巨人の星 Special Blu-ray BOX 1(期間限定生産版)

 

誰もが一度は聞いたことある言葉、「水面を優雅に浮かぶ白鳥も実は水面下では必死に足をもがいてる」は、嘘だったという話。

 

 

確かに、そんなに必死な感じではないですねえ。

 

さて、今回はその真偽ではなく、初出についてです。このツイートの返信には、『巨人の星』の花形くんの言葉が原因ではないか、というお話があります。

 

 

花形くんは、

 

青い水面に美しく優雅に浮かぶ白鳥は/

しかしその水中にかくれた足で絶え間なく水をかいている/けっている/

だからこそ/

つねに美しく優雅に浮かんでいられる

ぼくはその白鳥であるためにも星くん…/

きみを打つ!

 

と言っています。

 

なるほど、広まったのはこのセリフかもしれません。しかし、これを「梶原一騎の創作」とまで言っていいのか*1、というのも疑問に思いました。

 

というわけで、今回はその初出探しです。一応追えるところまでは追いましたが、今回は図書館に行かずにネットの海だけで考えたので、何か追記があればぜひはてブにでもください。

 

*1:たとえばwikipediaの記述。

ちなみに、「優雅に泳ぐ白鳥も水面下では激しく足を動かしている」というフレーズが、漫画『巨人の星』の作中で登場人物の台詞として語られたことから有名になっているが、これは原作者の梶原一騎による創作であり、実際にはそれほど激しく足を動かしているわけではない。

ハクチョウ - Wikipedia

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フランスのNTRの表現は多彩か、求むフランスのトモダチ

鍵・瘋癲老人日記 (新潮文庫)

 

私はNTR、いわゆる寝取られジャンルと呼ばれるものにあんまし興味はないのですが、フランスではその表現が多彩ですよ、というお話。

 

 

 

寝取られ男の表現が状態によって3種類もあるなんて、フランスは未来にいきてんな、という感じですが、同時に、「まーたテキトーなツイートか」と思っちゃうことも事実です。

 

ということで調べてみたら、意外に本当であるようなんですが、やっぱり意味がちょっとずれているようだったので、詳述していきたいかと思います。

 

 

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ハチミツと育児の歴史、夥しい死者の群れ

 

ハチミツとクローバー (10) (クイーンズコミックス―コーラス)

ハチミツを食べた赤ちゃんが、ボツリヌス症を発症し、亡くなったというニュースが先ごろありました。

 

その際、クックパッドなんかに、離乳食用にハチミツ入りのレシピが公開されていて、問題が指摘されておりました。

 

 

www.oricon.co.jp

 

 

同時に、「ハチミツ」とボツリヌス症の関係が日本で注意喚起されたのは1987年と歴史が浅く*1、まだ十分に知られていないのではないか、という指摘もありました*2

 

「乳児とハチミツ」の危険性が、なぜ完全には広まっていないのか、という部分について、そもそも、「ハチミツ」と「乳児」がどのように日本で関わってきたのか、という歴史を今日は紐解いていきたいと思います。

 

*1:http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/08/09302.htm

*2:

 食餌性ボツリヌス症は以前から知られていましたが、乳児ボツリヌス症は1976年にアメリカ合衆国ではじめて報告されました。わりと新しい病気と言えます。日本での最初の報告は1986年ですので、30年ぐらい前です。そのころには蜂蜜がボツリヌス芽胞に汚染されていることが知られており、翌年の1987年には厚生省が1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう通達を出しています。

なぜ乳児に蜂蜜を与えてはいけないのか:朝日新聞デジタル

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ペンギンは「飛べない」イメージか、山崎まさよしがペンギンマスター

こんなツイートが話題です。

 

 

私はこの方のツイートがとっても好きで、よい意味で意味の無い含蓄のある言葉を諸々呟かれているのです。今回もその一環なのですが、ずいぶん話題になってしまったからか、めずらしく、

 

 

「端的に言えば嘘です」と、フォローを加えていました。

 

でも、これだけ話題を集めるということは、「ペンギンは飛べないけどがんばる・がんばれ」みたいなイメージをみなさんが共有しているということなんでしょう。どうでもいいことが気になる身の上としては、どうでもいいと思いながら、日本の歌謡業界において、ペンギンはどういう立ち位置なのか気になってしまったので、調べてみました。今日はネタみたいなもんです。

 

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