ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

ドバイの乞食は月収800万円か、記事を読むマナー

ドバイというといまやお金持ちのイメージですが、こんな記事が話題を集めています。

 

gogotsu.com

 

「ガルフニュース」が、「ドバイの自治国と共同で約60人の乞食を相手に月の収入を調査」したところ、「物乞いだけで月に27万ディルハムを得ていた」とのこと。それを信じた中国の少年が密航したという話題も載っています。

 

という記事なんですが、この記事、情報が古い上に、誤りも多かったので、訂正してみます。

 

続きを読む

たまごっち教授の発言は批判されるべきか、みんなリセットボタンを押している

 

たまごっち かえってきた! ちびたまごっち 白

たまごっち、という響きから、私はそんなに昔のにおいを感じないのですが、あれからもう二十年も経ってるんですね。今日は当時のブームの話。

 

当時の京都大学の教授が、たまごっちが「現実と仮想がないまぜになる」として、ブームだった1997年に書いていたことに対する批判です。

 

かなりのリツイートがついていますが、私がやはり気になるのは、この文章の出典をきちんとあたった人がいるのか、というところです。今日はそんなところをつらつら記事にします。

 

続きを読む

映画『メッセージ』の宇宙船のモデルはばかうけか、内容も呟いてね

私は、あんまり壮大ではないSF*1が好きで、レイ・ブラッドベリのいくつかの短編や、最近だとケン・リュウの『紙の動物園』が面白かったですね*2

 

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

 

 

 

で、いま見たいなあと思っているのが、テッド・チャンの『あなたの人生の物語』を映画化した『メッセージ』です。チャンの小品的なSF群が私は好きなんですが、映画版はどうもちょっと壮大になっているようで、宇宙船の形が「ばかうけ」に似ていると話題になっていました。

 

www.huffingtonpost.jp

 

もちろんジョークなのですが、監督自身がコメントしているので、ちょっとした話題になりました。

 

というわけで、今日は、この宇宙船のモデル探しです。最近時間がなくて、あんまり腰を据えた記事を書けないのがくちおしいのですが…

 

*1:なにをもってSFとするかはいろいろな派閥がありますが、まあ広義の意味の、ということで…

*2:有名な人に紹介されてしまったので、まあ、裾野が広がるのはいいんですけど、ちょっと複雑な気分

続きを読む

ダニエル・イノウエの宣誓の逸話は本当か、ウソをウソと見抜くことは難しい

ホノルル空港の正式名称が「ダニエル・K・イノウエ国際空港」に変わるという話が、ちょっと前にニュースになりました。

 

www.asahi.com

 

日本ではそこまで有名ではありませんが、日系アメリカ人初の下院議員、そしてハワイの英雄でもある方です。

 

ということで、元ツイートはのっけませんが、彼のこんな逸話がリツイートを集めておりました。

 

○第二次大戦で右腕を失った。

○日系アメリカ人初の上院議員になったとき、下院議長に「右腕をあげて宣誓を」といわれ、「議長、右手はありません。若き米兵として戦場に置いてきました」と返した

 

逸話は常に眉につばをつけているワタクシなので、今回のも調べてみましたが、まあ小姑のような細かい訂正になってしまいました。それでもよければお読みください。

 

続きを読む

ダンキンドーナツで警官は無料になるのか、タダほど高いものはない

消防車がうどん屋にとまっていた話に関連して、ダンキンドーナツとアメリカの警察の話が話題になっていました。

 

 

アメリカの「ダンキンドーナツ」では、警察官には無料でドーナツを配っている、というお話。

 

とはいうものの、どうもその話は都市伝説ではないか、というツイートも見かけました。

 

 

さあ、本当のところはどうなんでしょう、という事で調べてみました。今回はお金も使って結構がんばったので、広めてもらえるとうれしいなあ。

 

続きを読む

ヴォイニッチ手稿は解読されたのか、ロマンを食べたい

ヴォイニッチ写本の謎

ヴォイニッチ手稿というと、15世紀の謎の暗号のような本、ということで有名ですが、これをロシアの数学者たちが解読したのではないか、という話が出ています。

 

blog.livedoor.jp

 

久しぶりにまとめサイトなんかをソースに持ってきてみますが、ここのスレにもあるとおり、「こいついっつも解読されてんな」という感じがするもの事実です*1

 

というわけで、今回のこの話、どこまで真実味があるのかを調べてみました。しかし残念なことに、あんまりすっきりしたオハナシではありません。

 

続きを読む

白鳥が必死に水面下で足をもがく初出はなにか、梶原センセイの戦後

巨人の星 Special Blu-ray BOX 1(期間限定生産版)

 

誰もが一度は聞いたことある言葉、「水面を優雅に浮かぶ白鳥も実は水面下では必死に足をもがいてる」は、嘘だったという話。

 

 

確かに、そんなに必死な感じではないですねえ。

 

さて、今回はその真偽ではなく、初出についてです。このツイートの返信には、『巨人の星』の花形くんの言葉が原因ではないか、というお話があります。

 

 

花形くんは、

 

青い水面に美しく優雅に浮かぶ白鳥は/

しかしその水中にかくれた足で絶え間なく水をかいている/けっている/

だからこそ/

つねに美しく優雅に浮かんでいられる

ぼくはその白鳥であるためにも星くん…/

きみを打つ!

 

と言っています。

 

なるほど、広まったのはこのセリフかもしれません。しかし、これを「梶原一騎の創作」とまで言っていいのか*1、というのも疑問に思いました。

 

というわけで、今回はその初出探しです。一応追えるところまでは追いましたが、今回は図書館に行かずにネットの海だけで考えたので、何か追記があればぜひはてブにでもください。

 

*1:たとえばwikipediaの記述。

ちなみに、「優雅に泳ぐ白鳥も水面下では激しく足を動かしている」というフレーズが、漫画『巨人の星』の作中で登場人物の台詞として語られたことから有名になっているが、これは原作者の梶原一騎による創作であり、実際にはそれほど激しく足を動かしているわけではない。

ハクチョウ - Wikipedia

続きを読む