読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

ハンバーグは生きているか、切り身は泳いでいるか。

最近、まとめブログにこんな記事が流れています。

言ってることとやってることが違う似非ベジタリアンwwwwwwww:ハムスター速報

 

 

記事は恐らく初出と思われるハム速さんのものを提示しましたが、いわゆる大手まとめブログにもいくつか同じ記事が掲載されています。

 

要約するほどでもないですけど、twitter上で「動物の命を奪ってはいけない」「私にはそれを言う資格がある」ということを、少しおつむの足りなさそうな言葉でツイートした画像に、「ハンバーグゎず」とハンバーグのおいしそうな写真をのっけたツイートの画像が続いているから、またたくまに「こいつはバカか」と広まったわけです。

 

しかし、このツイート、本物か?

 

という鋭敏な頭脳でもって疑問に思ったわけではなく、ただ単に、ゲスの極みな私は「こいつは他にどんなバカなことを言っているんだろう」と、他のツイートを探そうとしたわけです。

ところが検索してもしても元ツイートに辿り着けない。

【元ツイートをたどる旅】

イ.通常通りtwitterで「あのさ、ぅち思うんだけど」などのフレーズで検索をかける。

→ツイート画像に関するリツイートばかりで探し出せない。

ロ.ならばと、画像にある「2015/1/30」を手がかかりに、その期間で検索をかける。

→何にも出てこない。

ハ.Google先生の収集癖に引っかかってるかもと思って、期間指定をかけて検索してみる。

→何にも出てこない。

ニ.諦める。

 

私はtwitterに詳しいわけではないのでよくわからないのですが、アカウントが削除されたり鍵付きになったら元ツイートもネットの痕跡からきれいさっぱり消えちゃうもんなんでしょうか。そうは言っても、私よりも情報収集能力の高いネットの他の方々が、住所を割り出した形跡がないことも不可解です。このツイートの主のような、ちょっとおつむの弱そうな方が、こうまできれいに存在を消してしまっていることも、なんとなく変です。

 

ここまできて、どうやらこのツイートは釣りではないかと思うわけです。

 

そうすると、次に考えることは、このツイート画像の初出は何かというわけです。

先述したように、まとめサイトの記事としては、ハム速さんの「2015/2/7 20:00」が最古のようです(それ以前の期間を指定して画像や記事に含まれるべきであろう言葉を検索しても、私には見つけられませんでした)。そこでは、「お***」さんという方が、件の画像をのっけて、「お前言ってる事とやってる事無茶苦茶やないか。ここまで酷い人見た事ないわ」というコメントを載せてあります。

 

とすると、次にやることはそのツイートをしている人が、その元ツイートをどこで見つけてきたかということです。

「お***」さんがツイートしたのは「2015/2/7 18:39」で、ハム速さんの記事の1時間とちょっと前です。一応、一日前までさかのぼり、「ハンバーグ」「ベジタリアン」「矛盾」などの言葉を絡めてtwitterを検索してみましたが、どうしても私にはこれより前に、この画像が掲載されたツイートを見つけることはできませんでした。同様に、Google先生に、この画像を検索してもらったのですが、百個ぐらいみた感じでは、同じものはありませんでした。

まあ、全部調べろといわれたらそれまでなんですが、「ネットは広大だわ」なわけなので、私にはその気力がありませんでした。

つまり言いたいのは、「お***」さんのツイート以前に、この件について発信している人が見当たらないということです。

 

では、「お***」さんは、どこからこの画像を拾ってきたのか。

 

などと書くといやらしい書き方になるので、結論からいえば、この画像は「お***」さんがネタとして自作したものではないかと思うわけです。だって、彼のツイート以前では、その画像が存在していないように見えるんだもの。

なぜ彼は元ツイートをそのままRTせずに、画像として(ご丁寧にモザイクまでかけて)掲載したかといえば、自分で作ったから、という理由になります。一枚目の「ぅちは思うんやけど」という画像にはツイート日時がしっかり入っていますが、二枚目のハンバーグの画像には、うまいこと日時が見えないようになっています。恐らく同時刻にツイートしたものだから、具合が悪かったのでしょう。

 

まあ、一応可能性としては、「お***」さんが、ローカル経由で、どこからかこのネタツイート画像をもらってツイートしたということも考えられます。多少不自然な考え方ですが。

 

私は別に彼を糾弾をしたいわけではなく(大体状況証拠しかないですし)、非常に興味深いと思ってわざわざこのブログを立ち上げたのです。

なぜなら、われわれは今、都市伝説≒ネットロアが生まれる瞬間を目撃しているわけだからです。

皆さんは、「今の小学生は魚が切り身で泳いでいると思っている」という言説を聞いたことがあるのではないでしょうか。ちょっと検索したのですけど、昔大手の新聞にその記事が載ったことぐらいしか出てこなくて、私も記憶では十年くらい前に●●新聞が、その絵と一緒に記事を掲載したことぐらいしか出典は覚えておりません。(多分過去記事を調べれば出てくるでしょう。今度調べます)

 

でもちょっとおかしくありません?いくら泳いでいる魚を現実で見たことがないといっても、絵本やらテレビやらで魚のあの形は見たことが全くないというのは、あまりにも不自然だと思うのです。これはちょっと何かのメディア的な印象操作を感じます。ちなみに、恐らく最古のそのような言説は、昭和12年の濱田工作『異國さかな雜談』かと思われます。(「また近頃は京都あたりでは魚屋は鮪の切身を置いて行き、魚を料理して行くから、女子供等は魚の全形も知らず、其の名も一向覺えない」)

 

今回のまとめブログの記事に対するコメントを読むと、その切り身に関するものがいくつか見受けられます。このようなネットロアが広まるのは、社会にそのような土壌があるから(あるいはあると思われているから)です。「アポロは月面に降りたっていなかった」的なウワサはあまり社会的支持を受けにくいですが、「切り身」や今回の「ハンバーグ」は、「そういうことってあるかもしんない」的なラインを超えるものだったのでしょう。人は信じたいものだけを信じる。個人的には、この言説がこれから、どのように人口に膾炙していくのか、それがとても興味深いです。

しかし、この私の推理がまったく見当違いだったら、また別のネットロアが生まれるのかもしれません。いや、そんなアクセスは見込めないので、それはないかな… 

 

ちなみに、件のハンバーグは恐らくハンバーグチェーン店の「アルカサール」だと思われます。これは画像検索でとにかく似ているものを探しました。ナイフの形、テーブルの模様、鉄板の形、ベーコンの焼き具合から、恐らく間違いないと思います。どの店かまではわかりませんが、神保町かなあ。このハンバーグ自体も検索にかけましたが、全く同一のものは見つからなかったので、これはもしかすると、自分で行ったことがある店だったのかもしれませんね。