大して話題にもならなかったですが、今日は海外の炎上について。
コロラド州のTrevor Pellegrinさんのキャンピングカーが燃えたのですが、その原因がゲーム機のWiiではないかというニュースが一週間前ぐらいにありました。
上記のヤツとか、オレ的さんの記事なんかはタイトル詐欺っぽくってちょっとズルイ感じです*1。もちょっと公平に書かれた記事はGIGAZINEさんにありますが、おおむね他のまとめサイトなどで取り上げられた際のコメントとしては、
①Xboxが無傷であることへの驚嘆
②上記に関連しての任天堂ヘイトor擁護
③火事そのものへの疑問視
が、主にありました。信者というものはどんなものにもつくんですな。
しかしメディアは往々にして怠慢であり、次報というものに関しては、この程度の内容ではほとんどされません。そうすると、結局Wiiが本当に出火元だったのかがわからず、何となくネット上で「Wiiから出火したらしいよ」という情報だけが独り歩きすることになります。
というわけで、物語の続きを知りたければ足ならぬネットを使うしかありません。
まずは大元のソース記事を探します。これはさっきのGIGAZINEさんの記事から容易にたどれます。KKTVというコロラド州のローカル局のニュース番組ですね。日本で言ったらテレビさいたまぐらいですかな。
念のために動画を見ますが、「①消防が『９９％Wiiからの出火だ』と言っている②任天堂からの返事はまだない」というぐらいが目新しいところです。
そのほか、とりあげた向こうのメディアをさらいますが、特に続報はありません。
で、こういうときに便利なのがFacebookです。向こうの方々はたいてい本名でやってますので、「Trevor Pellegrin」で検索すると、おお、簡単に引っかかりました。
さて、Pellegrinさんはやっぱりショックだったとみえて、多数このWii火事のコメントをしています。その中で彼はこんなコメントをしています。
つまり、こんなにたくさん自分が注目を浴びたことなどなかったということです。そしてこの注目の浴び方は決してポジティブなものではありません。日本的に言うなら「炎上」というやつです。現実の火事で炎上なんて笑えませんけど。
世界的なゲーム会社のコンソールの出火かもということで、いろんな国で取り上げられているようで、そうすると日本と同じように、「本当にWiiが出火原因なのか」「出火自体が捏造なんじゃないのか」的な論調が生まれてきます。Pellegrinさん本人もそのことを嘆いていて、こんなバカにされた動画までアップされたときは「笑うしかないよね」とコメントしていました。
ちなみに、Xboxや近くにあるソファーがほとんど燃えていないことも多くの人から突っ込まれていたようで、その点についての言及もありました。曰く、「火事のときにソファーなんかは全部外に放り投げた」「その後で火事の調査した人たちが、調査後にRVの中に戻した」ということらしいです。ようするに、燃え広がる前に外に避難してたから、Xboxは無事だったわけですね。Xbox信者の方は残念でした。しかも、燃えなかったけど「水からは守れなかった」わけなので、結局壊れちゃったことには変わりありません。*2
さて、返事のなかったNintendo of America からも返事が来たようですが、当然向こうは「出火したWiiを送ってくれ」というわけですが、Pelleginさんは弁護士と相談してそれについては送らないという方針をとっています。ちょっとよくわからないんですが、うやむやにされることを恐れてのようです。うーん、これだと任天堂もどうしようもないと思うんだけどなあ。ついでにキャンピングカーもつれてかれてしまったようです。
では、今日のまとめです。
ここまで調べると、日本だけに限らず、この記事に対するコメントの多くが事実ではない推測の元に成り立っているのがわかります。情報は隠されているわけではありません。常にオープンです。しかし、誰もそれに関してアクセスしようとしない。その結果、こねくりまわされた二次情報だけが伝わる状態が「炎上」です。出火原因を調べるより、火をつけちゃう方が簡単ですからね。
というわけで、今日は、伊藤計劃『虐殺器官』のこの言葉でしめましょう。
「人間は、見たいものだけしか見えないようにできているんだ」
*1:「Wiiからまさかの出火！！ → 家が全焼するもとあるハードが無傷で残る珍事！！」というタイトル。まずキャンピングカーなので家ではないし、全焼もしてません。こういうのがアクセス数稼ぎにいいんですな。メモメモ
*2:https://www.facebook.com/trevor.pellegrin.9/posts/10204458967778390:1?pnref=story
