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ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

AIの誤報のソース元であるBusinessnewslineについての検証

以下の記事にて、「AIに仕事を肩代わりさせていた」職員が存在しないことを検証しました。

ibenzo.hatenablog.com

今回は、巷では「ソース記事の大誤訳」というところで落ち着いていますが、どうもそのソースサイト自体が怪しい感じなので、出遅れた挽回も含めて、もう一度検証してみます。

 

さて、今回のデマの発端となった記事はこちらです。

http://www.businessnewsline.com/news/201510020954110000.html

Businessnewslineというサイトで、この記事の筆者は「Anthony Holt」。記事は巷のデマ抗議を受けてか、なにやら言い訳が付け足してあります*1

私が疑問に思っているのは、明らかに英語圏っぽい人の名前にもかかわらず、翻訳したであろうこの記事の元英文が見つからないということ。かつ、そもそもこの「Businessnewsline」というサイトの英語版が見つからないということ。

おかしなことに、「Anthony Holt」で検索をかけても、それっぽいライターが見つからない。*2

Anthony Holt - Google 検索

他の記事の執筆者は、「Bruce Ford」「Jeremy Reed」「Leonard Larson」「Samuel Martin」など、英語の名前ばかりですが、検索をかけても、この日本語の「Businessnewsline」しか引っかからない。彼らが書いたと思われる記事の英単語と一緒に検索しても出てこない。

 

ページ下部にある「About」をクリックすると、「Newsline Foundation」というところが管理をしていて、トーキョーとカリフォルニアを拠点としていると書いてある。

http://www.newslinegroup.org/about

aboutのページには、「Nature & Earth」「Space & Planetary」などカテゴライズがされていて、クリックすると、「ScienceNewsline」というページにとぶ。(ちなみにBusinessnewslineへのリンクはない)

http://www.sciencenewsline.com/

この中に、件の記事が書かれているのかと思いきや、どこにも見つけられない。ちなみに英文の記事の方には、ライター表記はなく、全てソース元(と思われる)ページをリンクしているだけです。

 

もう少し言えば、Businessnewsline上部には「marketnewsline」「sciencenewsline」のリンク先があるものの、「market」の方は日本のマーケットのことばかりで、「sciencenewsline」にいたってはことごとく記事のリンクが切れており、2014年ごろで更新がとまっています。本家の「ScienceNewsline」は更新がされているというのに。

 

つまり、何が言いたいかというと、

 

「Businessnewsline」の記事は日本語版しか存在しない。

 

ということです。徹頭徹尾、日本語でしか書かれていません。英語の翻訳のように見えるのはただの見せ掛けです。

ではなぜ、ライターの名前が英語名ばかりなのか。可能性としては2つ。

 

①海外記事を翻訳するため、日本語に堪能なイングリッシュ・スピーカーが採用されている。

②海外記事を翻訳したように見せかけるため、ライター名を英語名ででっちあげている。

 

個人的には、あまりのライターの名前の引っかからなさに②を疑っているのですが、だったら「by~」と記載しなければ良いだけのような気もするので、何ともいえません。

 

いずれにせよ、この「Businessnewsline」というサイトは、英文記事を再構成しているまとめサイトだということです。これは別に何も悪いことではないですし、「英語をそのまま翻訳している記事だ」と感じるのは我々の側の錯誤です(巧妙ではありますが)。なかなか日本で紹介されない記事が載っているので、2chのソース記事としてもよく扱われているみたいです。他の記事は、ざっと照らし合わせた感じ、特に大きな誤訳もないかと思います。*3

 

 

なので、なぜ、あのAIのような、あまりにも各種英文記事とかけ離れた内容の記事が投稿されたのか、それが不思議でなりません。*4

 

 

 

 

 

*1:しかしこの言い訳では、「スピーチシンセイサイザーを使った」とか「AIかどうか判断はできない」的なことが書いてあるけど、そのソースが全く書かれていないし、見つけられない。どの英文記事にもAIを疑っているソースはないんだってば。

*2:その名前の作家はいるが、小説家であって、こういう記事を書くとは思えない。

*3:たとえばミニブタの記事。

http://www.businessnewsline.com/news/201510011446450000.html

は、以下のnatureの記事を引用していると思われます。

www.nature.com

*4:ひとつあるとすれば、こういう炎上を狙ったマーケティング的な、意図的誤訳ということかな、と思います。