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ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

グリーンランドのサンタクロースはホンモノでフィンランドはニセモノか、サンタのお家騒動

国内ニュース

さて、11月も終わりになると、町はすっかりクリスマスです。

そうすると、日本のあちこちでサンタクロースがやってきます。

news.mynavi.jp

本場フィンランドのサンタクロースがわざわざやってきてくれるんだとか。あれ、でもサンタクロースの本場ってどこなんだろう。グリーンランドなんじゃないの、とか思ったりします。

いささか旧聞に属しますが、何年か前に「フィンランドのサンタはいかがなものか」といった内容の情報がネットをかけめぐったことがあります。

www.news-postseven.com

パラダイス山元さんは「グリーンランド国際サンタクロース協会公認」のれっきとした「公式」サンタです。その彼からしたら、どこぞのお墨付きとも知れない似非「公認」のサンタが群雄割拠する現状に心を痛めるのも当然といえるでしょう。

うーん、しかし公認というのはマジサンタクロースに認められてこその公認だと思うんですが、いったい本物の公認サンタは誰なのか、調べていきましょう。

 

 

さて、フィンランド的にはもちろんフィンランドがサンタクロースの本場です。

www.huffingtonpost.jp

フィンランド大使館が答えちゃってるんだから、フィンランドの公式見解としてとらえておきましょう。しかし、この記事に対してさっそくデンマーク大使館から横槍が入ります。

www.huffingtonpost.jp

「なめんな、うちは「世界サンタクロース会議」も開いてるし、その会議の中で「グリーンランドにサンタがいる」って公式見解も発表したんだぞこのやろう」*1と、かなりけんか腰です。いや、実際は穏やかなんですが。まあ、大塚家具並みのお家騒動ですな。

 

「世界サンタクロース会議」というと、先ほどあげた記事の公認サンタのパラダイス山元さんも出席しているアレですね。移動の際にもサンタコスチュームを脱いではならないんだとか。公式ページは以下からどうぞ。

About WSCC

現在は、デンマークの歴史ある遊園地Bakkenを会場として行われているようです。2016年は7月18日~20日の日程で行われます。デンマーク大使館の人の言いぶりだと、サンタクロース試験に合格したサンタしか集まれないという感じのような気もしますが*2、上記の世界サンタクロース会議の公式サイトでは、そのような記述は見られません*3。ていうか、そもそも「サンタクロース試験」ってなんだ?

 

ぐぐると訳知り顔でこんなサイトが出てきます。

 

公認サンタクロースへの道!

 

これによれば、結婚して子どもがいるといった前提条件や、はしごの煙突のぼりとかHOHOHOの朗読とか、それっぽいことが書いてあります。まあ多分、パラダイスさんの本に書いてあったんでしょう。

 

いずれにせよ、これは「グリーンランド国際サンタクロース協会」が公認をしているということです。どういった形態で募集をするんでしょうか。

 

で、早速「Greenland International Santa Claus Association」でググって見るのですが・・・

 

 

 

 

出ない!

いや、「グリーンランド国際サンタクロース協会日本支部」は出るんですよ。

www.japan-santa.com

でもさ、本部のサイトが出ないんです。「グリーンランド国際サンタクロース協会」の英語名が間違っているのかとも思ったんですが、もろ日本支部の公式サイトの一番下に「© Greenland international Santa Claus Association」とあるので、まあその名前かなあと思うじゃないすか。とろこがなんにも引っかからない。デンマーク語で念のために検索してみたけど(Grønland internationale Julemanden Association)、それも引っかからない。

 

しかしなぜかWikipediaは引っかかるんですよね。

グリーンランド国際サンタクロース協会 - Wikipedia

ここには訳知り顔で「支部はドイツ・スイス・オランダ・カナダ・アメリカ・フランス・イタリア・エルサルバドル・スペイン・日本などにある」と記載がありますが、念のためドイツ語(Grönland internationalen Weihnachtsmann- Vereinigung)やスペイン語(Asociación Groenlandia internacional de Papá Noel)で引っ掛けてみたんですが、日本以外に「グリーンランド国際サンタクロース協会」なる団体名はヒットしないんです。

 

うーん、ちょっとあやしい感じがしてきません?

 

考えられる可能性は3つ。

①グリーンランド国際サンタクロース協会は存在しない。

②グリーンランド国際サンタクロース協会は存在するが、ネットをひどく毛嫌いしているために一切の情報が載っていない。

③グリーンランド国際サンタクロース協会は存在するが、実在の団体というよりも理念的集合体であり、概念としてしか存在しない。

④グリーンランド国際サンタクロース協会は日本名で、現地の名前は大きく違う。

 ②に関しては、自前のサイトやツイッターを持ってないのはアリにしても、この情報化社会で一切の情報が載っていないということはほぼ不可能だと思うので却下します(まあ、検索不足という線もありますが)。同じく③もアリかなと思ったのですが、それにしては日本のパラダイスさんしか参加していないのが気になります。

可能性として高いのは①と④です。

④については、世界サンタクロース会議を主催している以下の団体が候補に挙がるかな、と思います。すごい見難いサイトなので注意。

Forside - Dansk Julemands Laug

これは英語名で「Danish Santa Claus Guild」ということで、デンマークのサンタ集団のようです。もしかすると、ここがサンタ試験も受け持って公認印を与えている、という可能性はあります。ただそれだと、パラダイスさんの言う「グリーンランド国際サンタクロース協会」の名前とはだいぶ違うのでどうかとも思うんですけど。

①については、これを言ったら身も蓋もないので、特に言及はしません。*4

 

ここから先は完全な推測になりますが、Naverまとめにこんな記載がありました。

matome.naver.jp

リンク切れを起こしているページからの引用なんですが、山元さんのこんなコメントが載っています。

 

パラダイス山元:
今から15年前に、朝の番組を担当しているプロデューサーの方に、
「パラダイスさん、一緒にご飯食べに行きませんか?」と誘われて、
最初は番組のお話かなと思ってたんですよ。
そうしたら、スカンジナビア政府観光局で公認サンタクロースを
アジアから募集する事になっていて、たまたま私のところに
その話があったんです。
子供もいて、サンタクロースの仕事の経験が今まで何回かある
という事を調べてくれていて、なおかつサンタクロースらしい
体型であるということ(笑)。

 

恐らく山元さんの本からの引用じゃないかと思われるんですが、気になるのは「スカンジナビア政府観光局」です。あ、ここは「グリーンランド国際サンタクロース協会」じゃないんだ、と思いません?

 

つまり、もともと「公認サンタクロース」の募集には観光局、つまりは役所主導の手続きがあった。これを「グリーンランド国際サンタクロース協会」なり「Danish Santa Claus Guild」が主催をしている「世界サンタ会議」で「試験」を行い、無事「公認」サンタクロースとなった。協会なりGuildなりは会議の時のみ組織される集団であり、特定の団体ではないため、ネット上に情報が挙がってこない。とまあ、こんなところではないでしょうか。

 

しかしまあ、そうすると「世界サンタクロース会議」は、もともとデンマーク色の強い会議なんですから、「サンタクロースはグリーンランドにいる」という主張になってしまいますなあ。ちょっとフェアじゃない気がします。

 

結局、こうやって情報が偏っているのは、公認サンタとして芸能人的に活動ができているのがほとんど山元さんだけだからではないでしょうか。恐らく、他の公認サンタのかたがたは、そんなメディア露出の少ない、一般の方が多いんじゃないかなあと思われます。だから、山元さんの語る情報だけが一方的に出て行ってしまっている。これが悪いというよりかは、うーんフェアに判断ができないなあというところです。

 

なのでどなたか体型のふくよかな子持ちの方(女性でもいいそうですよ)、ぜひアジア地区から公認サンタにご応募してください。

 

*1:上記リンク先で言及されている公式見解は、2003年のときの世界サンタ会議のものでしょう、theguaridian に掲載されています。

www.theguardian.com

まあ、これについてはガーディアンも「The Santa summit also ignored historical evidence rooting the tradition in Turkey, where a 4th century Christian saint, Nicholas of Myra, helped the needy」と、ちょっと冗談ぽく皮肉っています。

*2:「サンタクロース試験に合格した認定サンタクロースが、世界中から約120人も勢ぞろいします」前掲リンク

*3:The World Santa Claus Congress at Bakken is both a professional forum and social meeting place for real Santas from all around the world. The Santas from around the world 前掲リンク

*4:私は可能性としては①も捨てきれないなあと思います。実は、この「協会」だけでなく、「サンタクロースの試験」の存在も、日本語圏のウェブページにしか引っかからないんです(デンマーク大使館の人が存在を口にしているのは気になりますが)。これが本当に存在しているのならば、英語圏の公認サンタは広報活動をだいぶさぼっていることになります。