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ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

【追記あり】金賞のワインなんて信じない、個人的な私怨の記事(頭痛が痛い)

国内ニュース

【3月30日追記】

調べ切れなかった「ギド・デ・サン・メイヤー・ヴァン・ド・ペイ・ドック TOP100」について、情報提供を頂きましたので、下部に掲載いたしました。

 

私はお酒は弱いのですが、たまに安いワインを飲みます。先日も、クロード・ヴァルというフランスのワインを買ってきました。

 

 

このワインの首には「金賞」というポップがかかっていたので、安いなりにうまいんかいなと思いながら飲んでました。

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で、裏を見ると、ずらっとコンクールの名前が並んでいるんですね。

f:id:ibenzo:20160328230751j:plain

「パリ農業コンクール」「ヴィナリ国際ワインコンクール」「マコン・グランヴァン・コンクール」・・・などなど、ずらずらコンクールの名前が書いてあるわけですよ。へえすごいじゃん、そういやなんだかうまいもんなと思いながら、もう一回よく読んでみると、但し書きがあるんですね。

 

このワインは世界の公式ワインコンクールのいずれかで金賞を受賞しています。

 

ふんふん。

 

代表的なワインコンクールの一例としては上記のものがあります。

 

ふんふ・・・んん?

 

一例としては上記のものがあります。

 

つまり、ここにずらずら書いてあるコンクールはただの例であって、別にこのワインが受賞したわけじゃない。

 

f:id:ibenzo:20160328231428j:plain

というわけで、個人的な私怨でもって(頭痛が痛いみたいだな)、このワインがいったいどんな金賞を受賞したのか、まったく需要のない記事を書こうと思います。

 

***

 

さて、検索するとすぐに出てきます。

 

クロード・ヴァル 白|ワインのあるライフスタイル もっと!ワイン

 

コンクール入賞歴を見ると、

 

○「サクラ・アワード2015金賞」

○「英国TOP100 IGP 金賞」

○「ギド・デ・サン・メイヤー・ヴァン・ド・ペイ・ドック TOP100」

 

の3つのコンクールに入賞しており、うち2つのコンクールで金賞をとっています。あのポップの裏に書いてあったコンクールは一つも入っておりません。

 

というわけで、「金賞」をとったとされる、上2つを見ていきましょう*1

 

 

○サクラアワード金賞

今年で第3回という歴史の浅いコンクールですね。

www.sakuraaward.com

このコンクールの特徴は「女性だけ」のワインコンペティションということで、審査員は全員女性です。

www.sakuraaward.com

審査員・・・多いですね。延べ340人いるんだとか。応募規定によれば*2、「5~6名を1グループとして」、「ブラインド」でテイスティングするんだとか。

しかし気になるのは、審査員にワインのインポーターの会社があることです。今回私の騙されたクロード・ヴァルの販売元である「モトックス」からも13人の女性が出ておられます。いくらブラインドとはいえ、ちょっと公平じゃないんじゃないの?という気もします。

審査員のワインコメントも、全て自社の輸入品ばかりのコメント*3で、まあ仕方ないんですけど、ちょっとあからさますぎやしませんかね。

 

賞は大きく3つで上から、ダブルゴールド、ゴールド、シルバーとなっています。エントリー数は2015年は2904アイテムあり、そのうち1233アイテムが受賞。4割程度が受賞ですね。で、ゴールドがその中でも一番多くて577アイテム。うーん、こう書くと、ちょっとありがたみがなくなっちゃいませんか。

 

○英国TOP100 IGP金賞

 

IGPというのは、ワインの等級のことで、「Indication géographique protégée」地理的表示保護ワインと訳します。このひとつ上のAOPが特定の産地で生産される上級ワインだとすると、IGPは生産地域を表示できるテーブルワインということになります*4

 

で、Harpers Wine & Spiritというイギリスのワイン情報サービスが選んだIGPグレードのTOP100ということのようです。Harpersは歴史は古く、1878年の設立で、2011年のTOP100を決めるときは、TimAtkin*5というMasterofWine*6がセレクトするんだとか。

 

2011年のTOP100 IGPのエントリーについては以下に記事になっています。

www.harpers.co.uk

 

詳細のリンクはもう切れているので、Webarchiveを拾います。

 

「What is Top 100 IGP France?」

http://web.archive.org/web/20141231102913/http://top100igpfrance.com/en/

 

700を超えるフランスのIGPワインから、TimAkinのリードのもと、テイスティングを行い、TOP100を決めるということのようです。

 

で、そのTOP100が以下。

 

http://web.archive.org/web/20120129143520/http://www.top100igpfrance.com/en/winelist/white

 


クロード・ヴァルはWhiteなので、そのリストを見たいのですが、残念ながら2ページ目以降はアーカイブされてないので、本当にクロード・ヴァルが入っているかどうかが確認できませんでした。まあでも、きっと入っているんでしょう。

 

しかし疑問に思うのが、どこにも「GOLD」の文字がないことです。

 

もちろんこのTOP100の中でも格付けがあり、「Trophy Winners」と「Best in show」に選ばれると、この中でもよりよいもの、という感じのようです。

 

しかし、そのどちらにもクロード・ヴァルは選ばれていません。

 

「Best in show」

http://web.archive.org/web/20120129200528/http://www.top100igpfrance.com/en/winelist/best

「Trophy winners」

http://web.archive.org/web/20120112100303/http://www.top100igpfrance.com/en/winelist/trophies

 

TOP100に選ばれることはすばらしいことだとは思いますが、しかしそれを「金賞」と言ってもいいもんなんでしょうか。ワイン業界のことはよくわからないのですが、そういうセレクトされたことを、この業界では「金賞」と呼ぶんでしょうか。ちょっとさぎっぽい感じがしないでもありません。

 

【3月30日追記】

 

ギド・デ・サン・メイヤー・ヴァン・ド・ペイ・ドック TOP100

 

正式名称は「Guide des 100 meilleurs Vins de Pays d'Oc」で、下記ページによればオランダのワイン農家やワインアカデミーの人たちによって選ばれたものなんだとか。

www.bythegrape.nl

Vins de Pays とは、IGPと一緒でワインの格付けを表すものであり、2008年までの格付け表記のものですね。IGPと同等で、ちょっといいテーブルワインといったところでしょうか。

そのなかでもVin de Pays d'Ocは「ラングドック=ルシヨン地域圏」のワインということになります*7

2008年なので、いろいろなリンクが切れているのですが、ArchiveにPDFが残っていたので、のっけときます。

http://web.archive.org/web/20091229015510/http://www.vindepaysdoc.com/pdf/Guide100vins_Hollande.pdf(リンク先PDF)

上記のPDFはTOP100のリストが載っている冊子なのですが、検索すると、25ページにクロード・ヴァルが載っていました。よかったよかった。

しかし、ここまで調べるのにかなり苦労しました。元はと言えば、わけのわからん日本語表記が元凶です。読めても読めなくてもいいから、原語表記をしてほしい。あと、正確には「in Netherlands」をつけないと、「ヴァン・ド・ペイワインの100選ガイド」というだけなので、そんなものはいっぱいありそうで見分けがつかなそうです。コピペはやめましょう。

 

 

・今日のまとめ

○クロード・ヴァルは確かに2つのコンペティションで評価されている。

○しかし、サクラ・アワードはインポーターの存在がちらついて公平性に欠けるように見える。

○英国TOP100IGPの方では、確かに100選にセレクトされたが、どこにも「GOLD」の文字がなく、それを「金賞」と言っていいのか、ワイン業界の慣例が不明である*8

 

しかし、ワインの「金賞」が怪しいなんて話は今に始まったことではなく、ぐぐってみればいろいろ出てきます。

gathery.recruit-lifestyle.co.jp

jbpress.ismedia.jp

 

要するに、ボルドーみたいに超有名でもない限り、なかなか自分のワイナリーのワインを買ってもらうのは大変だということです。なので、とりあえず手近なコンクールに出して、「金賞」を受賞しておけば、インポーターも買いますし、消費者も安心だと思って購入します。これは日本だけではなく、世界各国であるようで、オーストラリアは、あまりにも「金賞」が乱立するので、指定されたコンクール以外の「金賞」は、表示できないようになったんだとか*9

 

 

みんなもブランドにだまされず、「オレがおいしいと思うものがおいしいんだ!」というぐらいの気概でもって、どうぞワインは楽しんでください。

 

 

*1:本当は「ギド・デ・サン・メイヤー・ヴァン・ド・ペイ・ドック」なるものも見たかったのですが、もはやスペルもわからず、恐らく「 Guido de Saint Mayer van de Pei dock 」と思われるのですが、検索しても引っかからなくて面倒になってきたのでやめにしました。

情報提供があり、調べました。下部に追加します。ありがとうございます。

*2:http://www.sakuraaward.com/files/2016GuidelinesForEntry_jp.pdf

*3:例えばモトックスの赤井さんがコメントしている「コーディチェ チトラ パリオ モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2012 -G- イタリア」「ドメーヌ ポール マス クロード ヴァル 白 2014 -G- フランス」どちらも、モトックスが販売元です。

SAKURA AWARDS(サクラアワード) ワインコメント

受賞リスト↓

http://www.sakuraawards-result.com/files/result/2015/jp/All.pdf(リンク先PDF)

モトックスだけでなく、他のワインインポーターの人々も、基本的には自社製品の紹介です。

*4:以下の説明を参考にしました。

ワインの格付けは難しくない【フランス編】 - 家ワイン

*5:Tim Atkin | Master of Wine

*6:イギリスのソムリエの称号みたいです。

Master of Wine - Wikipedia, the free encyclopedia

*7:ヴァン・ド・ペイ - Wikipedia

*8: 少なくとも英語圏で、このワインを紹介するときに「GOLD」の称号は存在しない。

Scores & History: 2014 Paul Mas 'Claude Val' Blanc, IGP Pays d'Oc, France それぞれの年の左側にあるAwardの項を見てもらうとわかる。

*9:オーストラリア おかしなワインメダルにノー