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ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

【訂正】本田は原口のプレーを「バカなミス」と酷評したのか、「全文はコチラ」を希望する

ファクトチェック

【10/15追記】

FourFourTwoらの本田のコメントが同一コメントではないかと書きましたが、何人かの方からどうもそうではなさそうだというご指摘を頂きました。オーストラリア戦直後の本田のコメントを動画で確認しましたが、それはスポニチなどのもの

本田圭佑4年ぶり1トップ「先制の形は良かった」 (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

で掲載されており、本記事で紹介した本田のコメントは、その後のインタビューということになるでしょう。なので、「コメントはいつされたのか」は訂正いたします。

個人的には原口と本田のコメントの取り違えはありうるような気がするのですが、推測も多めなので、ということを留意してお読みください。

【追記ここまで】

 

私はあんまりサッカーに詳しくないのですが、オーストラリア戦のコメントが色々と出揃ってきたんですね。そんな中で、こんな本田のコメントが話題になっています。

zasshi.news.yahoo.co.jp

今回、1ゴールをあげた原口ですが、自身のペナルティエリア内のファールで、PKを献上、相手に1点あたえ、結局それが原因で勝利を日本は逃しました。そのファールのプレイについて、本田が「ただのバカなミスでしたね」と一刀両断した、という記事です。

 

うーん、サッカーのコメントがずいぶんつぎはぎにして書かれていたことを前に記事にしましたが*1、今回のもいかがでしょうか。

 

 

***

 

「バカ」とはどの程度のミスか

FootballZoneというサッカー専門のメディアのようで、記事の本田のコメントを「英サッカー専門誌「フォーフォートゥー」が報じた」としていますので、元記事を探します。

www.fourfourtwo.com.au

該当の箇所は以下の通り。

 

“Unfortunately I didn’t expect that penalty they scored, it’s okay and I think I should be satisfied,” he said.

残念なことだけど、あのペナルティーは予想外だった。仕方のないことだし、(この結果に)満足しないといけないんだろう

“I think it was a penalty, it was just a silly mistake.

あれ(原口のファール)はペナルティーだったでしょう、・・・

 

うーん、この「silly mistake」及び「just」をどのようなニュアンスで考えるか、というのが大きな問題になってきます。「silly mistake」は、私の感覚では重大なミスというより、イージーミス、「つまらないミス」と訳したほうが適切かなと思います。

 

「just」はなかなか曲者ですが、「it was a silly mistake」に「just」が入ると、「mistake」がより限定的な範囲で響くので、「ほんの」とか「ちょっとした」ぐらいの意味合いになるかなあと思います。「ちょっとしたイージーミスだったね」なんかがよくないでしょうか。もうちょっと前後の文章がないと正確には言えないですけど。

 

本田はこのインタビューの中で、オーストラリアが世代交代に成功していることに触れた上で、自らのチームも「まだ若手は成長する必要がある」としながら、「彼らは試合を変えたし、ビッグ・プレーヤーになることを期待している」と答えています*2

 

つまり、若手の可能性を感じながらのインタビューなので、この流れの中で、ペナルティーのミスを「酷評」とは受け取りづらいでしょう。「つまらないミスだった(でも仕方ないよ)」というニュアンスの方が近いんじゃないんでしょうか。

 

このコメントはいつされたのか

と、書きながら、ソースになっている「FourFourTwo」の本田のインタビュー、果たしていつされたものなんでしょうか。記事の配信は現地時間で10月12日午前10時27分。

 

ところが、この記事が出る前にも、同じような記事が日本語で出ています。

 

10月11日22時3分配信のGOALの記事。時間的に試合直後のコメントでしょうかね。

 

www.goal.com

 

本田は「引分けは日本にとって良い結果でした。僕らは満足すべき」と答え、「僕らにも何人か若くて良い選手たちがいます。彼らが試合の流れを変えましたし、将来のビッグプレーヤーとなるべき選手たちです。その時を待っています」と、若手に期待をよせています。おやおや、どこかで読んだ文章です。

 

つまり、GOALの記事が先に出ていることから推測するに、FourFourTwoもGOALも、同じ本田のコメントを記事に引用している、と考えたほうが妥当ではないでしょうか。というか、本田のコメントは、このオーストラリア戦後の1パターンしかないのではないか、と思います。

 

で、より現実に近く詳しいコメントが載っているのがyahooのsportsnaviの記事。

 

sports.yahoo.co.jp

 

ここで本田は、

 

でも今日のゲームプランからいけば、同点に追いつかれた時点で引き分けをよしとしないといけないと思います

 

と答えています。今までの本田の記事が全て試合後に行われた同一のコメントからとられているのであるなら、この部分はFourFourtwoの「Unfortunately I didn’t expect that penalty they scored, it’s okay and I think I should be satisfied,」に呼応するのではないでしょうか。んん?そうだとするならば、ちょっと英語の表現と日本語の表現に開きが出てきますね。

 

英訳のマチガイの可能性

ということは、どうもFourFourTwoの記事は、本田の日本語のコメントを、英訳をしたという可能性が出てきます。日本語のコメントと開きが出てくるのは、ちょっと通訳がミスってる可能性もあります。

 

そうすると疑わしくなってくるのが、「ただのバカなミスでしたね」というコメントそのものです。

 

英語・日本語、両方の記事をいろいろ読みましたが*3、「ただのバカなミスでしたね」に相当する本田のコメントが、FourFourTwo及びそれをソースにしたFootballZone以外に存在しないんですね。

 

しかし、実は似たコメントを、本田ではなく原口自身がしているものがあります。以下のものです。

 

(あの局面では守備に戻るだけでも大変だったと思う)あれはPKだったと思うし、僕が止まれなかった。危ないと思って戻ったんですけれど、結果的に……。

原口元気「プラン通りだったが……」W杯予選 オーストラリア戦後のコメント - スポーツナビ

 

「あれはPKだったと思うし」=I think it was a penalty

「僕が止まれなかった(ミスをした)」=it was just a silly mistake

 

うーん、いかがでしょうか。

どこにも、完璧な本田のコメント全文が存在しないので、絶対にそうだとは言い切れませんが、FourFourTwoの日本語の翻訳がざっくりしていて、かつ原口と本田のコメントを取り違え紹介した、というところなんではないでしょうか。そうすると、FourFourTwoの記事自体の信憑性がかなり疑わしくなってくるということにはなりますが。

 

コメントの一部分だけ取り出すということ

 

どーも今回のオーストラリア戦、そういう「コメントの一部分」だけを強調した記事が目立つような気がします。

 

既に指摘されている人もいたのですが、豪州DFのスピラノビッチが「10人で守って幸せそうだった」と日本を冷笑したという記事が、事実が歪曲されているというものです。

zasshi.news.yahoo.co.jp

これも先ほどと同じくFootball Zoneなのですが、スピラノビッチが、日本がDFをひいて戦う様子を見下した発言であると書かれています。

 

しかし、ソースにしているというFourFourTwo(またか)を読むと、あまり「冷笑」している感じはしません。別のコメントも載っているJAPAN TIMESの記事と併せて読むとそれがうかがえます。

 

I don’t think they would like to be retreating behind the ball and chasing it. But it’s normal away from home. They scored first and they were happy to do that.

日本の選手たちはボールの後ろに後退して追いかけたいなんて、僕は思ってないよ。だけど、アウェーではそれは普通のことだ。1点とったら、彼らは喜んでそうするだろう。

Japan catches Australia off guard with pragmatic tactics | The Japan Times

 

they scored the goal and were happy to drop 10 players behind the ball. I don’t think they were pressing us aggressively in our half.

(だから)彼らはゴールを挙げて、喜んでボールの後ろに回って10人で守ったんだ。積極的に彼らは僕らにプレスをかけたとは思わないよ。

Spiranovic: Japan would be happier than us - Australian FourFourTwo

 

スピラノビッチは、日本の戦い方を「アウェーでは当然のこと」と発言をしているので、ことさら見下しているという感じはしません。どちらかというと、彼は、「(日本はそういう戦い方だったから)自分たちが弱かったわけではない」ということを言いたいのだと思います。

 

タブロイドの常套手段ですが、こうやって一部分のコメントを抜き出し、作為的な解釈を付け加えることが、どーもサッカーでは多いような気がします。まあ、サッカーだけでもないですけど。

 

今日のまとめ

①「FourFourTwo」の英語記事を読むと、本田は若手の将来も期待している発言もあり、英語自体も「ただのバカなミス」と「酷評」したよりも、「つまらないミスだった」と、あまり問題にしていないように読める。

②本田のコメントは恐らくオーストラリア戦直後に行われたものであり、現在いくつかのメディアが報道しているコメントは、それを抜粋したり要約したものである。

③「ただのバカなミス」という本田の発言は、そのほかのメディアで確認できず、原口のコメントを、英訳した際に取り違えてしまった可能性がある。

④FootballZoneはスピラノビッチのコメントも作為的に報道しており、公平な観点から記事が書けていない。

サッカーというか、スポーツ全般にそんなに詳しくないのでなんなのですが、選手のコメントって必ず出てくるんですけど、いつもそれが正確に書かれている記事ってとても少ないのが不思議なんですよね。たいてい切り取られ、書き換えられ、つぎはぎされ、場合によっては意味を歪曲されて報道されてしまう。ぜひ今度から、コメントの記事には「全文はコチラ」みたいなリンクを貼るとよいかと思います。あとは動画をのせましょーよ、動画を。

*1:大儀見選手の中国戦のコメント全文を組み立ててみる、曖昧なメディアのわたし - ネットロアをめぐる冒険

ベッカムはサッカーよりラグビーが好きなのか、「真意が伝わらない」 - ネットロアをめぐる冒険

*2:

“They succeeded, they changed the generation two years ago when they played in the World Cup, they grew many players in the last two years, beside the Japan national team we still need to grow our young players,” Honda told FourFourTwo.

“We also got some young players, so they changed the game and I expect they should be the big players in the future, so we are waiting for that.”の部分

*3:確認した記事は以下の通り。既出も含みます。

本田圭佑、ワントップで結果出すも「にわか仕込みは厳しい」/ロシアW杯アジア最終予選 - Goal.com

4年前とは激変。本田圭佑のコメントで日本の「劣化」がよくわかる|サッカー代表 |集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva

原口元気「プラン通りだったが……」W杯予選 オーストラリア戦後のコメント - スポーツナビ

日本-オーストラリア W杯アジア最終予選(2016年10月11日):朝日新聞デジタル

【W杯アジア最終予選】ハリルホジッチ監督の采配に疑問 「本田圭佑頼み」に落胆も|ニフティニュース

SOCCER/ Japan hold Australia in lively qualifying match:The Asahi Shimbun

Makoto Hasebe shines as Japan keep Tim Cahill quiet in qualifier - ESPN FC

Haraguchi scores, concedes penalty in Japan's draw with Australia | The Japan Times

Japan catches Australia off guard with pragmatic tactics | The Japan Times

The incredible save that saw Australia avoid defeat