群馬県というと、いまやネット上ではすっかり「未開の地」的ニュアンスで語られるばかり。県ものっかって、「群馬探検隊」なるコンテンツ*1を創り上げますが、さっさと閉鎖するあたり*2、いろいろと物悲しいです。
というスレも建つほどですが、実際に「Gunma dengerous」とかでググっても、そういう反応は返ってこないので(そもそも知名度がないです)、テキトウ記事なんでしょう。海外のオタク的には頭文字Dの印象があるみたいです*3。
で、群馬県と画像検索すると、ちょっと小ばかにした「未開の地」的画像がたくさん出てくるので、今日はそのいくつかの出所を調べてみたいと思います。
まず、県庁。
よくそんなサブタイトルが考え付くもんですが、この画像はマリのトゥアレグ族の家だそうです*4。「アフリカ 家」で画像検索したらさっくりでてきたので、このコラ画像を作った人も同じような調べ方をしたんでしょう。
これはコラではないですけど、こんなのも有名です。
これは毛無峠という、一部の人にとっては悲しい響きの持つ峠の写真だそうです。この先は小串硫黄鉱山という鉱山町があったそうで、廃墟マニアにとっても有名なんだとか。*5
次に、成人式。
これはパプアニューギニアのバンジージャンプです。「パプアニューギニア バンジー」でぐぐると似た画像がいっぱいでてきます。イニシエーションというヤツで、文化人類学でよく取り上げられますね。みなさんが楽しんでいるバンジージャンプはこういうところから来ています。成人式というのは間違っていないので、ちょっと教養のある人がつくったコラであることがうかがえます。
あと、このこわい仮面も、おそらくパプアニューギニアです。
マッドマンという部族の祭礼的な装いのことですね。出処の画像は見つけられなかったですが、たぶん間違いないと思います。パプアニューギニアはそういう「未開の地」的ものがたくさんある国です。
不思議な力で死ぬことになる、というのは、ウルルン滞在記かららしいです。*6
ギニアのオランゴ島では女性から男性にアタックする一夫多妻制で、その申し出は男性は断れないんだそうです。で、断ったら・・・というのが上記の字幕。
要するに、日本人が「未開」的と思われる画像に片っ端から「群馬県」の文字をはめていったわけです。そして、「未開」の人は、やっぱり「黒人」になってしまうわけです。このコラ画像を作った人たちは、画像検索でなんと言うワードをいれたんでしょうか。日本人にとって、アフリカだろうが大洋州だろうが、みんな「黒人」は「未開の地」の人間なんです。アフリカと大洋州って、ヨーロッパと南米ぐらい違うんですけど、そういう短絡的な発想になってしまうところに、日本の国際的視野の狭さを感じます、なんてえらそうに書きたくなります。
さて、「グンマー」という蔑称的響き、元ネタは以下のコピペといわれています。*7
495 : おさかなくわえた名無しさん[sage] : 2010/02/26(金) 19:47:03 id:Pk8znbOq
夜中に町をプラプラしてたら警察に捕まった。
パトカーが俺のそばに止まって警官が2人出てきて俺を囲んだ。
警「ドゥーユーハヴパスポート?」
俺「ノー」
すかさず確保される俺。
警「ニホンゴワカル?」
俺「はい」
警「どこから来たの?」
俺「…ぐんま」
警「ミャンマー?」
俺「ぐんま」
警「グンマーね。ビザは持ってるの?」
俺「持ってないです」
警「はい、じゃあパトカー乗って」
パトカーに乗る俺。
警「名前は?」
俺「山田太郎(仮名)」
警「日系人?」
俺「日本人です」
警「え?」
俺「日本人ですよ」
警「…えっ?」
俺「免許証見ます?」
免許証を見せる俺。絶句する警官。
警「…すいませんでした…不法入国の人かと思って…」
警「…あの、その、お顔とかが、ちょっと外国の方みたいだったので…」
俺「帰っていいすか?」
警「…はい…。お気をつけて…」
それでやっと解放された。
その日を境に俺のあだなは「ネパール」から「グンマー」になった。
しかし、この2010年2月26日以前で「グンマー」というワードを調べてみると、以外にひっかかります。
これはタイトルがそのまんま「グンマー」ですね。2004年11月15日の記事です。
2005年7月20日のこの記事では、「グンマーと言えば「上毛かるた」」といったり、別の記事では「グンマーの魂、任侠の鑑、チュージクニサダ」といったりしています。
また、直接ではないですが、2ちゃんのスレの「(゚д゚)ウマーで1000目指すスレ」に、2005年10月1日付けで、「( ゚Д゚)ウマー⇒ウンマー⇒グンマー⇒グンマ⇒群馬。」という投稿も載ったりしています。
つまり、2004年~2005年ごろには、すでに「群馬」のことを「グンマー」という呼び方で呼ぶ人たちがいたということです。こればっかりは群馬県人に聞かないとわかりませんが、「グンマー」という呼び方がネット上に広まる土壌は、コピペのできる数年前からあったということになります。
この「グンマー」という当時の書き方は、必ずしも自虐的ではないかもしれませんが、すこし海外的にするニュアンスを感じるので、そもそも「群馬」に関して、ちょっとネガティブな印象をもっていたのかもしれません。それが、ネットでのコピペから始まった「未開の地」イメージと結びついていったんでしょう。なので、「グンマー」の呼称を広めて言ったのは、ほかならぬ群馬県人なのかもしれませんね、というところで今日の記事はおしまいです。