新年一つ目の記事は、また中国の記事です。
三つ子が生まれた張さんのお宅。しかし顔があんまり似ていないもので、DNA鑑定をしたら、一人は自分の子どもだったが、他の二人は違う父親だったとか。別居中に妻が浮気をしたらしい。
そんなことはありうるのかねえということで、調べてみます。
オレ的さんがソースにしているのは「ナリナリドットコム」。
ナリナリさんは「網易新聞などによると」という記載があるので、「網易新聞」「三胞胎(三つ子のこと)」で調べてみますが、いまいち網易新聞の記事にはヒットしないので、いちばん日時が早そうなソースを挙げてみます。
12月24日の記事ですね。翻訳を駆使してみますが、そんなに大差はありませんね。ただおもしろい記載があって、精子が生存するのは72時間以内とのことなので、その間にあと2人の男性と関係をもたなければならない云々ということです。うーん、ちょっとハードル高そうですけど。
そもそも、3人とも父親が違うという現象は起こるものなんでしょうか。
この状態を「異父重複受精」というそうです。以下のサイトがなかなか詳しくて面白かったです。
なんでも評点:父親の異なる子が同じ母体の中に同時に宿る「異父重複受精」とは
ここに紹介されているのは双子の例だけですが、複数の卵子が同時に排卵されたときに、二人以上の男性の精子が女性の体内に入ると、可能性としては両方受精するということはありうるわけですね。一応、実例があるようです*1。
しかし卵子は1~2日が寿命といいますから、精子の寿命がもっと長くても、二日の間に二人ないし三人の男性と関係しなければならないわけですね(あれ、そういうことだよね・・・)。そのうち一人は旦那でないといけないわけで、別居中ということであると*2もっとハードルは高くなるような気がします。「百万分の一」の確率とのことですが、三つ子がそもそも自然妊娠で生まれる確率は十数万分の一といわれる中で*3、異父重複受精するなんて、もはや百万分の一ではすまないのではないでしょうか。
しかも、医学的になかなかレアなこの話ですが、名前も「張」だけ、場所も不明、いつの話かも不明、あまりにも情報が不明瞭すぎます。これには、中国のユーザーも疑念を覚えているようです。
いったいこの話、どこから沸いて出た話なんでしょうね。残念ながらネタ元までを探ることまではできませんでしたが、少々荒唐無稽すぎる話のようです。
そもそも「異父重複受精」heteropaternal superfecundationは、人間に対してはそんなに研究が進んでいないように思います*4。どこかこの説自体にアヤシサが伴うのもそのためでしょう。確率的にはありうる話も、実際に表面に現れるかどうかは、また別の話です。
*1:The world's least alike twins - Dateline NBC | NBC News
など。これは不妊治療の際の手違いだとか
*2:ちなみに、中国の記事のサイトは別居というか、仕事で家に長期不在、という書き方です。そして、ネットで出会ったという記載がナリナリさんにはありますが、最初のソースにはその記載はありません
*3:自然妊娠で三つ子誕生 唐津の伊藤さん|佐賀新聞LiVE
*4:さきほど紹介した「なんでも評点」というサイトで紹介していた論文ぐらいしかない感じです。
確かに、人間相手にする研究としては、倫理的にあれこれいわれそうです