オリンピックの話題がニュースでは続いておりますが、金メダルをとった選手に対する安倍首相のインスタグラムの投稿が、いかがなものか、という反応が出ていました。
メダルをとった選手ではなく、自分の顔のアップと言うところに、批判が集まっているようです。個人的には心底どっちでもいいんですが、「他の国ではこんなことしていない」というようなコメントもちらほら見えて、確かに、他の国はどうやってSNS上で選手を祝福しているのか気になったので、調べてみました。
調査方法
記事執筆現在(2018年2月21日)で、平昌オリンピックで金メダルを獲得している16カ国の首相もしくは大統領の個人名でのinstagram、twitter、facebookの公式アカウントを調査しました。
○金メダルを選手の写真入りで祝福している場合は「○」で表記。
○祝福の投稿はあるものの写真がない場合や、写真があっても金メダルのものではない場合は「△」で理由も表記した。
○公式のSNSがあるものの、メダル獲得に関する投稿がない場合は「×」で表記した。
○そもそも、公式のSNSがない場合は空白で表した。
では、結果はどんな感じになったのか、次項に掲載します。
調査結果
*リンク先は、「○」「△」の場合は当該記事にとべます。「×」については、各SNSのトップにとぶようにしています。
国名 |
首脳 |
インスタ |
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その他 |
ノルウェー |
erna solberg |
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ドイツ |
Angela Merkel |
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カナダ |
Justin Trudeau |
△(選手の写真ではない) |
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オランダ |
Mark Rutte |
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アメリカ |
Donald J. Trump |
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スウェーデン |
Stefan Löfven |
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フランス |
Emmanuel Macron |
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オーストリア |
Sebastian Kurz |
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韓国 |
문재인 |
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スイス |
Alain Berset |
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イタリア |
Paolo Gentiloni |
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イギリス |
TheresaMay |
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スロバキア |
Robert Fico |
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ウクライナ |
Volodymyr Groysman |
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ポーランド |
Andrzej Duda |
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ベラルーシ |
Александр Лукашенко |
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チェコ |
Andrej Babiš |
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以上のような結果になりました。
17カ国中13カ国が、SNSなどで、金メダル選手に祝意を伝えていました。オリンピックに関して特に何の反応もしていないのが、イギリス・アメリカ・ドイツという結果です。まあ、アメリカは銃乱射の話で、それどころではないかもしれません*2。
しかし、選手の写真まで載せている国に絞ると7カ国と、一気に半分に減ってしまいます。全ての国が選手の写真を載せているわけではありません。写真を載せる場合は、選手が写っているものになるというのも事実ですが。
載せている国はこんな写真
スロバキアはこんな感じ。
スウェーデン。
オランダ。
Het Oranje succes op de schaatsbaan houdt aan! @JorienterMors wint de 1000m in een nieuw Olympisch record. Een prachtige overwinning waarmee ik haar telefonisch van harte gefeliciteerd heb. #TeamNL #PyeongChang2018 pic.twitter.com/ivZtWCwIHl
— Mark Rutte (@MinPres) 2018年2月14日
一番私が熱心だと思ったのはノルウェーで、首相自らが現地に赴き、いくつも選手と写真を撮っていました。知らなければ、ただのファンのおばさんのように見えます。
これは推測にはなりますが、公式アカウントが使用している写真は、どうも自前のものか(検索しても他にヒットしない)、各国オリンピック委員会が使用しているものを使っているように見えます。
選手の写真はハードル高そう
他の国の肖像権事情はよくわからないのですが、そもそも選手の写真を使用するのは、いろいろな権利からハードルは高そうに思えます。
JOCは写真提供をアフロや共同通信などから受けているのですが、これも契約をしているからでしょう。
なので、当たり前ですが、JOCの公式インスタグラムでは、ばんばん選手の写真が使われています。
しかし、安倍首相及び官邸はそんな契約をしているわけがないので、そもそも選手の写真を使う時は、自前で用意できるものしか使えないのでしょう。なので、苦肉の策のように、羽生選手のメダル獲得の際には、前回のソチ五輪のときの官邸での訪問時のものを使用したりしています。
【SNS更新】羽生選手、おめでとうございます!怪我を乗り越えてのオリンピック二連覇。素晴らしい演技に、本当に胸が熱くなりました。感動をありがとう!#羽生結弦 #金メダル #2018平昌https://t.co/G5DxWxJeddhttps://t.co/f1KpbnUJzO pic.twitter.com/krtcjD2Zpl
— 首相官邸 (@kantei) 2018年2月17日
また、パシュートの金メダルのときは、JOCのインスタグラムのリツイート(っていうの?)のような形で、動画をtwitterに載せています。
【Instagram更新】髙木美帆選手、髙木菜那選手、佐藤綾乃選手、菊池彩花選手、おめでとうございます!素晴らしいチームワークで逆転し、オリンピック新記録での金メダル。まさに日本の底力を示してくれました! https://t.co/0naEKfSL1g #金メダル #2018平昌 pic.twitter.com/sRdfrO5r2F
— 首相官邸 (@kantei) 2018年2月21日
安倍首相のインスタにも載ってます。ちょっと配慮したんでしょうか。
だったら画像を載せなくてもいいのにと思うのですが、特に官邸のSNSは、インスタ、twitter、facebookが全て連動しているようで、インスタは必ず何かしらの画像を上げなければならない都合上、やむをえず謎の自撮り写真をあげてしまった、というところなんではないでしょうか。
実は、こうやってオリンピック時にSNS上でメダルを獲得するたびにコメントを投稿するのは、今回のオリンピックが初めてのようで*3、内閣広報室もまだ試行錯誤しているように見えます。もうちょっと温かい目で見てあげてもいいんでないかなあという感じがします。
今日のまとめ
①SNS上で金メダルについてコメントする国は13カ国あったが、選手の写真つきで掲載したものはそのうち8カ国であり、全ての国が選手の写真を載せているわけではない。また、そもそもSNS上にコメントしない国もある。
②選手の写真を使用するのは権利の都合で難しく、やむをえず自前で用意できた写真を使用したのではないか、と推測できる。
写真を買うのもお金がかかりますし、そのお金は税金ですし、しかもSNS上の一つのコメントだけにそういうのを買うのもどうかなあという気はします。国を挙げて五輪に取り組むのであれば、そういった面の整備もしてみるのも手ではないでしょうかね。個人的にはどっちもいい話なので、あんまり熱のないままオシマイにします。