少しツイートでも呟きましたが*1、以下のマルちゃん正麺のツイートが「炎上」していると話題です。
🍜 親 子 正 麺 🍜 1/2 全8ページ
— 【公式】マルちゃん正麺 (@maruchanseimen_) 2020年11月11日
【第1話】本日配信❗️
あの夫婦にかわいい家族が増えて、ページ数も大増量!#ながしまひろみ 先生(作画)のかわいい絵に悶絶です。#親子正麺 #マルちゃん正麺 #漫画 #月水金で連載中 #第2話は11月13日 pic.twitter.com/6ixPoYUSeG
こちらの漫画の、特に最後のページで、洗い物をしておらず、帰ってきた妻にも洗わせている部分に批判が多くついた(と思われている)ようです。
クレームをつけた人よりもそれに反論する人の声の方が大きいので、問題がよく見えなくなっているのはいつものことですが、時系列をまとめながら、こういう炎上案件にどのように我々部外者は対処していくべきなのか、ちょっと考えてみたいかと思います。私のツイートから来た人は、最後のまとめを読めば、どうして訳のわからないツイートをしているか理由がわかるかと思います。
【目次】
時系列の確認
まず、当該ツイートに関する時系列を確認します。
11月11日10時に、今回の問題のツイートと漫画がアップされました。
その後、11月12日12時30分に、「リアルライブ」というメディア*2が、以下のような記事を出します。
しかし、この漫画についてマルちゃん正麺の公式ツイッターには、「途中まではほっこり読めたのに最後の場面で台無しになった」「食べてもないものの片付けを妻にやらせるなよ…」「ご飯作って“くれた”、子どもにご飯食べさせて“くれた”っていうやつ?」といった批判が集まってしまっていた。
13日10時、マルちゃん正麺の公式ツイートが当該の漫画について「今後の掲載につきまして現在精査」するという旨のツイートを出す。
13日17時ごろ、漫画への批判のツイート(鍵垢済)が注目を多少集める(最大300弱RT)。
14日0時台に、上記ツイートの画像を載せた、「漫画批判への批判」ツイートが出て、注目を集め始める(執筆現在約2500RT)。この時には既に「フェミニスト」の語が出ています。
14日8時ごろの他の人の「漫画批判への批判」ツイートが注目される(執筆現在約5000RT)。
その後、午前中のうちに、いくつかのまとめサイトが「フェミさんが批判」みたいなタイトルでまとめ記事を書き、拡散していきます。
で、私がツイートしたのは14日14時ごろで、その頃は既に「炎上」というような認識で語られ始めていました(ニュースサイトには「炎上」という語はないのですが)。そんでまあ、現在は、「マルちゃんの炎上商法ではないか」という話まで出ています。
「マルちゃん」はどの程度語られていたか
さて、リアルライブが「夫の描写に残念がるネットユーザーが多くいた」と記事に書いた12日12時30分までには、どの程度批判するツイートがあったのでしょうか。
漫画の掲載された11日10時から、私が呟く14時5分までの間に、「マルちゃん」という語を含んだツイートを抽出したところ、およそ1万件ほどありました。そのうち、純粋なリツイートを取り除くと3441件。また、そこから、東洋水産に関係のない「マルちゃん(野球選手とかアイドルとかアニメとか)」を除くと、1362件が残りました。これを、時系列でならべると*3以下の通りになります。
上記は、折れ線グラフが「マルちゃん」を含んだ1362件全てのツイートの時系列、赤の棒グラフは、その中でも今回の漫画について言及したものを数えています*4。今回は面倒くさくてリストは作りませんでしたが、傾向として、【11日~12日は漫画に対しての批判】が多く、【13日以降は漫画批判への批判】がほとんど、となっています。
ライブドアニュースに記事が配信されたとされる12日12時半に、ちょこっと数が増えていますが、これは、韓国の辛ラーメンが日本のインスタントラーメン市場を席巻している(かもしれない)という内容の記事に批判が集まっていたもので*5、その記事タイトルに「マルちゃん」が含まれているため、数が多くなっています。そもそも、ライブドアニュースは、この記事をツイートはしなかったようで、ほぼツイート上で言及はありません。その後、15時9分に出されたニフティニュースの記事紹介のツイートもたったの1RT*6で、拡散している気配はありません。
もちろん、いくつかのツイートは消されていることや、「マルちゃん」の語を含まない批判ツイート(特にリプ欄に多い)もあるため、この数が完全な実数であるとは思いませんが、どうも、リアルライブが書いた12日12時半の時点で、そこまで批判が多方面からあったのか、というのは疑問です。むしろ、特定の人間の発言のRTなどが集中している状態であったでしょう。
批判の批判が炎上状態を生む
数が増え始めるのが、14日になったあたりです。これは時系列で触れたように、「漫画批判の批判」ツイートの投稿時刻と重なります。より大きなうねりは9時台に見られますが、これも、先述したもう一つの「漫画批判の批判」ツイートの投稿時刻と同じくしています。14時台に一気に増えているのは、まとめサイトなどの影響でしょう。
流れとしては、
①漫画の掲載
↓
②漫画への批判
↓
③メディアが取り上げる(状況の可視化)
↓
④漫画ヘの批判の批判(これがバズる)
↓
⑤まとめサイトが拡散
というところでしょうか。たぶん、いつもと変わりません。ただちょっと興味深いのは、漫画への批判ツイートで注目を集めた呟きは、公式の謝罪*7の後に呟かれたものだということです。「公式の謝罪」という現象もまた、今回の騒動が可視化される原因のひとつかもしれないというのは、なかなか皮肉な話です*8。
私も以前の記事で触れました*9が、これは悩ましいところで、よかれと思って批判したことが、当該ツイートよりも拡散してしまい、そちらのうねりが大きくなってしまい、元が見えなくなってしまうというものです。トイレットペーパー不足の時も似たようなことが指摘されていましたね*10。
ただ、私が気になってしまうのが、そうやって「批判の批判」をする人たちの中には、相手が見えていない感じで、より攻撃的な表現を選んでしまうことがあるのではないか、ということです。例えば、「フェミ」「フェミさん」などというくくりのツイートも多いですが、これはもはや蔑称に近い語になってはいないでしょうか。検索してみると、「社会不適合者」とか「精神異常」とか、まあ、これではどっちが悪者かわからなくなってきます。「マルちゃんに村でも焼かれたんだろう」みたいな冗談も目にしましたが、むしろ「批判の批判」を続ける人たちの憎しみの方にこちらとしてはあてられてしまいます。
そもそも、この話題は、「フェミニストが騒いでいる」という単純な物語でよいのでしょうか。「男女」「家庭」に関する意見の相違があると、すぐに「フェミニスト」のレッテルを貼りたがる方たちも多いですが、いろんな表現にいろんな意見があるのはむしろ当たり前ではないでしょうか。11日の掲載日には、全く拡散していないものの、批判的なコメントがぽつぽつ見受けられます*11。not for meなものを声高に批判するのも辟易しますが、それに対して封殺するような多数のネットの民意というものも、当事者としては恐ろしいものかもしれない、ぐらいの配慮は持った方がよいだろう、と私なんかは思います。
今日のまとめ
①マルちゃん正麺の漫画への批判よりも、それについての批判の方が圧倒的に多い。
②そのため、「批判への批判」が、より「炎上(のようなもの)」を広げることになっている。
③異なる意見についてどのような態度を表明するかは、なかなか難しい。
結局、一番いいのは無視すること、だと思います。自分に合わない意見については沈黙を選ぶことも、たまには必要ではないでしょうか。でもなかなか黙れないですよね、私だってこんな記事を書いちゃうぐらいだし。
ただまあ、同じ「マルちゃん正麺」のトレンドを、自分の記事が片棒担ぐのも嫌なので、この記事の紹介ツイートはすごい曖昧にしておこうと思います。「あれがあれであれ」みたいな。トレンドに意味不明な言葉を混ぜるというのは、ツイッター界に一石を投じるのではないでしょうか(投じない)。
*1:
*2:
*3:
私もIT知識がポンコツで、横軸のラベルがうまくいかなかったので、ペイントで頑張って書いたためちょっとずれてます。すみません
*4:
なぜか13日9時ごろから18時までの間の「マルちゃん」のツイートがほとんど引っかからないのですが、ポンコツの私には理由がわからない。ただ、流れ的にそこまで多くはないだろうと判断はしています。
*5:
韓国「辛ラーメン」は「カップヌードル」「マルちゃん」を駆逐するのか。コロナ禍で見えてきた世界市場の行く先 | Business Insider Japan
*6:
というか、ニフティニュースのツイート自体、シェアする人がほとんどいない…
*7:謝罪、じゃないかもしれませんが
*8:
マルちゃんとしては、記事が出たことで先手を打ったというところなんでしょうか
*9:
*10:
「新型コロナのSNSデマはマスメディアが拡散」、東大の鳥海准教授が分析 | 日経クロステック(xTECH)
*11:
詳細は記しませんが、「気持ち悪い漫画」「一コマごとにツッコミをいれたくなる」など。そもそも、この漫画の前の「夫婦正麺」もあんまりあわない人がいたようです