こんなツイートが話題になっていました。
オランダ警察は鷲を訓練して不審なドローンを撃退する。水面から一瞬顔を出す魚を急降下で捕獲するぐらいの運動能力なので、ドローンぐらいは余裕らしい。
— 話題の草www (@idobatakun) 2020年2月6日
pic.twitter.com/jIgJHSel8R
さっそく本当なのか調べてみました。
2016年の話題
この話題がニュースになったのは2016年1月31日。オランダ警察が以下の動画をアップしたことによります。
オランダ警察はオジロワシのヒナを購入し、それを法律に違反しているようなドローンを撃退するために育てる、とのこと。ただ、これは対策のひとつであり、テスト中であるということも述べています*1。
専門家の反対
しかし、これは専門家の反論を招きます。反論の要旨としては、
・ドローンの速度は70~300km/hで、鷲がとるには速すぎる。
・ドローンの重量は3キロ以上で、その重量のものが上記の速度でぶつかると鷲がミンチになってしまう。
・鷲は上昇気流を使うため、平地では能力が発揮されず、50m以下しか飛べない。
・人間に危害を及ぼす可能性もある。
https://www.ad.nl/binnenland/experts-drone-maakt-gehakt-van-roofvogels~ae596653/ より
となります。プロジェクトを中止する請願もInternational Centre For Birds of Prey の所長のJemima Parryより出されています。
オランダ警察の広報担当は、まだ試験中であることや、訓練された鷲は人に慣れていることなどをあげており、この段階では中止にいたっていません*2。
2017年に中止される
その後、いくつかのイベントに出たり、訓練を続けたり、いろいろやってはきたようですが、2017年6月12日に、プロジェクトは中止されたことが公示されます*3。
De politie stopt met de inzet van roofvogels voor het onderscheppen van ongewenste drones. Een jaar na de start van dit project blijkt dat deze vorm van vernieuwing niet het gewenste resultaat heeft, onder meer omdat De technische ontwikkeling van drones zo snel gaat.
警察は無許可のドローンを捕獲するための鷲の使用を停止します。プロジェクトの開始から1年、ドローンの技術開発が急速に進歩していることもあり、この形式を続けていくことは望ましい結果をもたらしていないと考えました。
中止の具体的な理由としては、
・鷲の訓練や維持などが複雑で困難
・運用が予想よりも高価だった
・鷲が実際にドローンを捕獲できない可能性がリスクと考えられ、需要が少なかった
・訓練ではうまくいったが、現実にうまくいくかが未知数であった
を挙げています。ちなみに、オランダ警察は違法なタバコや人骨の発見にネズミを運用するプロジェクトもやっていたそうですが、同時に停止されました。オランダ動物大好きですね。
なお、鷲もネズミも快適な施設に送られ余生を過ごしているようです。
今日のまとめ
①オランダ警察がドローン捕獲のために鷲を用いたのは2016年から2017年。
②当時から専門家による反対の声があった。
③実戦で使用されることはほぼなく、訓練の複雑さや運用が高価になることなどから需要も少なく、1年程度で中止されることとなった。
さて、しばらくこんな感じで、気になった話題を短い記事にしてみます(挫折しなければ)。このぐらいの分量ならもうちょっと更新頻度をあげられるかな、と思うので…
*1:
De roofvogels zijn daarbij maar één van de mogelijke tegenmaatregelen.
鷲を使う方法は可能な対策のひとつにすぎません。
https://www.ad.nl/binnenland/politie-wil-roofvogels-inzetten-tegen-drones~ae662378/
*2:
Hij benadrukt dat het gaat om een proef.
Van gevaar voor mensen is volgens Sjoerd Hoogendoorn van het bedrijf Guard from Above, dat de proef uitvoert, geen sprake. ,,De arenden die getraind worden, zijn gewend aan mensen."
警察の広報はプロジェクトがテスト中であることを強調しています。テストを実施している警備隊のSjoerd Hoogendoornには、人間に危険はないといいます。「訓練された鷲は人間に慣れています」
https://www.ad.nl/binnenland/experts-drone-maakt-gehakt-van-roofvogels~ae596653/
*3:
2019年3月14日に、このプロジェクトに関するすべての書類が情報公開請求によりWEB上で公開されているので、興味のある方はどうぞ。
https://www.politie.nl/wob/korpsstaf/2019-project-roofvogels.html