ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

「紙」の方が誤りを見つけやすいのか、我らの時代のコピペ的フォークロア

ご無沙汰です。ただいま、わらじを三足くらい履いておりまして、なかなかこのブログを更新できませんでした。こっそり色々調べてはいたんですが。

 

で、今日は久しぶりにこんな話題。

 

 メディア批評の先駆者、カナダのマーシャル・マクルーハン(1911~1980年)は紙のほうが間違いに気づきやすい理由について、「反射光」と「透過光」の性質の違いを指摘した。前者は本を読むとき、いったん紙に反射してから目に入る光。一方、後者はパソコンやテレビの画面を見る際、直接目に入る光を指す。

 紙に印刷して読むとき、すなわち反射光で文字を読む際には、人間の脳は「分析モード」に切り替わる。目に入る情報を一つひとつ集中してチェックできるため、間違いを発見しやすくなるのだ

 これに対し、画面から発せられる透過光を見る際、脳は「パターン認識モード」になる。送られてくる映像情報などをそのまま受け止めるため、脳は細かい部分を多少無視しながら、全体を把握しようとする。細部に注意をあまり向けられないので、間違いがあっても見逃してしまう確率が高くなる。

「紙」に印刷すると間違いに気づく理由 | リコー経済社会研究所 | リコーグループ 企業・IR | リコー

 

少し呟きましたが、このマクルーハンの「反射光」と「透過光」の話、日本にだけ出回る都市伝説の様相でしたので、細かく調べてみました。

 

【目次】

  • 『メディアの法則』の引用
  • 誰の研究なのか?
  • 本当にクルーグマンなのか?
  • 「透過光」は具体的なのか?
  • 日本でなぜ広まったか(暫定版)
  • 今日のまとめ

 

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「新型ブニヤウイルス」を報じるテレビ朝日がちょっとよくない話

タイトルの通りです。こんな記事が話題になっていました。

 

「新型ブニヤウイルス」というウイルスに感染し、中国で7人が死亡していることが分かりました。

中国で「新型ブニヤウイルス」7人死亡…60人が感染

 

聞きなじみのない言葉で、また「新しい」ウイルスが中国で発見されたのか、と思いますが、ちょっと事情が違いそうなので、短くまとめました。

 

【目次】

  • 「新型」だけど、報告は2009年
  • 日本でも報告されている
  • 中国ではどの程度広がっているか
  • テレ朝はどう報じたか
  • 今日のまとめ

 

 

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ニューヨークタイムズはなぜソウルに移転したのか、一人称複数

今日はリテラの記事。ニューヨークタイムズ(以下NYT)が、アジアの拠点を香港からソウルに一部移転するという話。

 

当然の措置だと思うが、問題は、ニューヨークタイムズが、香港の代わりに、日本の東京でなく韓国・ソウルを選んだ理由だ。(中略)

 言い換えれば、シンガポールやタイのバンコク、東京はソウルに比べると、外国企業に対して排他的で、報道の独立性にかけると判断されたということだ。

NYタイムズが報道拠点を東京でなくソウルに移す理由に「報道の独立性」を…「日本に報道の自由がない」という国際社会の評価|LITERA/リテラ

 

この日本の「報道の独立性」について、リテラは以下のように記載しています。

 

  • 安倍政権によるメディアへの報道圧力が、国境なき記者団の調査でも指摘されている。
  • 国連特別報告者による報道の自由への懸念
  • 日経とNHKは「報道の独立性」という文言を記事からカットしている

 

リテラというと身構えしてしまう方が多いとは思いますが、すぐに「全部アベのせい」につなげてしまうところはご愛嬌としても、なかなか面白い視点だと感じたので、私も同じ流れで調べてみました。

 

【目次】

  • 「報道の独立性」は正しいか?
  • 「独立性」は安倍政権のせいだけなのか
  • 他のメディアの報道の仕方
  • 今日のまとめ

 

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WHOはなぜ成田空港の写真を使ったのか、RTピープル

みなさんお元気ですか。私は最近どうも疲れ気味で、色々な資料*1を借りてきては読み込むのですが、いまいち記事を書く気になれなくて、全てが放置されています(長めの近況報告)。

 

とはいっても、何か書かないと死んでいると思われそうなので、とりあえず目についたツイートからそこそこ面白そうなのをいくつかピックアップして、選んだのがこちらの記事。

 

世界保健機関(WHO)は1月30日、中国発の新型肺炎を、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」と認定した。決定文を載せたWHOのホームページには、大きな写真が添えられている。(中略)

調べると、写真映像代理店ゲッティイメージズが1月24日に配信した写真である。説明には成田国際空港とある。
春節の旅行客が新型肺炎の感染を世界に広めたのは否めない。それにしても新型肺炎への緊急事態宣言に際し、もともとの感染源である中国以外の国の写真を載せるとは
WHOという機関は一体どんな神経をしているのだろう。

「日経の名物記者も憤る」WHOのあまりに露骨な中国びいき(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース

 

元のバズってたツイートは、どこぞやの学者さんがTopBuzzなるリテラシーが五里霧中のサイトの「WHO「コロナパンデミックの発生源は日本の成田空港。世界の皆さんはよく覚えておくように」」という見出しを引用してのものでしたが、ソースとしては上記の記事*2になります。

 

要するに、WHOが中国に忖度して日本の成田空港の写真を記事に使ったのではないか、というヤクザが因縁つけるみたいな話だったので、ちょこちょこ調べてみました。

 

【目次】

  • WHOの写真についての正確な話
  • WHOの写真の基準
  • 確かに成田空港ではあるけれど…
  • 今日のまとめ

 

*1:

たとえばこうゆうの。

「脱ダム」のゆくえ 川辺川ダムは問う

フォトグラフィ25 : 25th anniversary : 目で見るすかいらーく史 (すかいらーく): 1987|書誌詳細|国立国会図書館サーチ

 

何の記事を書きたいかお分かりですか?

*2:

もう少し正確に言うと、上記の引用は、2月6日付の日経の記事になります。

WHOのガバナンス改革: 日本経済新聞

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パワーポイントを禁止している企業たちのアレコレ、パワー・ポイントはお好き?

*6/29 誤字訂正

 

最近ちょっとやる気がでないので、今日は簡単検索記事。

 

TLで流れてきたバズっていたツイートに、こんな内容のものがありました。

 

・AMAZON、LinkedIn、Facebook、トヨタは、社内会議でのパワーポイントの使用を禁止されている。

 

さっくり調べてみます。

 

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【検証中】小池百合子はマニキュアを塗りながら被災者を追い返したのか、ゆりこくん、東京に巣食う

最近話題になっている『女帝 小池百合子』(文藝春秋 以下『女帝』)の中の、こんなエピソードが話題になっています。

 

地元・芦屋の女性たちが阪神淡路大震災の陳情に行くと小池氏は指にマニキュアを塗りながら一度も顔を上げずに応じ、

「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます? 私、選挙区変わったし」。

(2ページ目)『女帝 小池百合子』は真の東京アラート…「マニキュア、塗り終わったから帰ってくれます?」 | 文春オンライン

 

非常に強烈なエピソードで、twitterでも取り上げられてバズっていましたし、ほうぼうのメディアでも引用されていました。

 

しかし、天邪鬼な私としては、このエピソードは果たしてどの程度事実に沿っているのか、少々疑問に思いました。残念ながら、今回の記事では明確なソースも否定するソースも出てきません。内容の真偽というよりかは、私のスタンスは、「ノンフィクションとメディアの付き合い方」というところにあります。そのため、この記事は「検証中」タグをつけ、同エピソードについてご存じの方を募集しております。いつも通り面倒な方はまとめだけ読んでください。

 

【目次】

  • 『女帝』の内容
  • 「山村サロン」の集会
  • 他のメディアを探してみる
  • 真偽ではなく正確性の問題
  • 今日のまとめ

 

 

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【追記】「中国批判声明の参加拒否」の共同記事についてのあれこれ、記事の消滅

【6/8追記】

官房長官の定例会見で、今回の記事に関する質問がありましたので、そちらを新しい項を立てて追記しました。

また、紙面には、脚注で指摘した通り「日本政府関係者」が「中国への問題提起はしている」と話した「欧米の対応と大きな違いはない」という部分が掲載されていたようで、こちらも加えた形が共同の記事の全容となりそうですね。以下の投稿からご教示いただきました。

共同通信の記事の全文は新聞紙面を読まなきゃ分からない|いるか|note

 

 

 

さきほど呟きました*1が、ちょっと怪しい共同の記事。

 

香港への国家安全法制の導入を巡り、中国を厳しく批判する*2米国や英国などの共同声明に日本政府も参加を打診されたが、拒否していたことが6日分かった。複数の関係国当局者が明らかにした。中国と関係改善を目指す日本側は欧米諸国に追随しないことで配慮を示したが、米国など関係国の間では日本の対応に失望の声が出ている。

日本、中国批判声明に参加拒否 香港安全法巡り、欧米は失望も

 

アメリカやイギリスなどが行った共同声明について、日本側が拒否をしていた、という内容のものです。ツイートした通り、共同通信のこの記事を大手は配信せず、産経は削除し、他の新聞社もころころ内容が変わっているため、恐らく何かの部分で誤りが含まれていたのだろう、と推察されます。

 

少し補足もあるので、簡単に記事にまとめてみたいかと思います。

 

【目次】

  • 共同記事の種類
    • Aパターン
    • Bパターン
    • Cパターン
    • Dパターン
  • 共同声明の内容
  • 「深い憂慮」を日本は伝えている
  • 共同通信は「誤報」なのか
  • 【追記】官房長官の回答およびNZの動向から
  • 今日のまとめ

 

*1:

https://twitter.com/netlorechase/status/1269497031149514755

意気揚々と呟きましたが、記事が出た瞬間からみんな疑っていましたね…ちょっと恥ずかしい。

*2:

しかし、「厳しい批判」なのか?というところはあります

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