ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

京都のホテルはコロナウイルスのせいで価格が下がっているのか

こんなツイートが話題になっていました。

 

 

結論から書けば、上記の値段はホステルなど元々安い価格帯の宿泊施設であり、かつコロナウイルスの前から設定した金額と思われるため誤解を招きます。投稿しようとしたら既にいくつか指摘があがっていたのですが、せっかく調べたので、以下検証結果をぶら下げます。

 

 

***

 

ホテルではない

当該ツイートで挙げられた宿泊施設と施設形態は以下の通り。

 

〇GATE80 京都二条(ホステル)*1

〇Kyoto Station Base(ホステル)*2

〇Guest Inn Kyoto 雅楽(ゲストハウス)*3

〇Ben's Guesthouse KYOTO(ゲストハウス)*4

〇サンチャゴゲストハウス京都(ゲストハウス)*5

〇ぴーすはうす桜(ホステル)*6

〇つばめ家(ゲストハウス)*7

〇OYO 44590 Sakura Guest House(ゲストハウス)*8

 

全てホステルかゲストハウスであり、そもそも料金設定が安い、ということに注意がいります。

 

特別な場合の料金も含んでいる

例えば、GATE80の「10円」という料金は、以下のように、誕生日のお客様限定となっています。

その名の通り!! 宿泊日が 誕生日のお客様 だけのプランです。

通常価格ドミトリー1人料金
平日通常価格(3/1時点で)¥2580

当日誕生日を迎えられるお客様の 年齢×10円で

例 35歳になられる場合 350円 で

特別に ご提供させて頂きます。

https://hotel.travel.rakuten.co.jp/hotelinfo/plan/166163

 

しかも、「年齢×10円」なので、10円では泊まれません。

 

Kyoto Station Baseの「228円」も、

 

平日(月、火、水、木)限定】※レビュー書いて宿泊代金2人で100円! お子様とテント体験プラン

https://hotel.travel.rakuten.co.jp/hotelinfo/plan/167783

 

で、「対象児童1名と大人1名の組み合わせで宿泊させるお客様限定で、一回に限り」で、児童の年齢も「5歳から10歳」と狭く、かなり限定的なプランとなっています。

 

そのほかのプランについても、いろいろな宿泊プランのうちの最安値を表示しているので、例えば一部屋「5名」でなければその値段にならない、という場合もあります。まあ、ここら辺は検索流入を狙った、客寄せの値段設定なんでしょう。

 

以前から行っている

いずれのプランも、プランの期間の設定自体は、コロナウイルスの流行前からの期間になっています。

 

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https://hotel.travel.rakuten.co.jp/hotelinfo/plan/166163 より

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https://hotel.travel.rakuten.co.jp/hotelinfo/plan/167783 より

 

期間は施設側でいじれてしまう(はず)ので、そこら辺をつっこまれるとアレなんですが、いちおうGoogleのキャッシュに残っているプランもありました。GATE80の誕生日のお客様10円プランは、2019年12月20日のキャッシュに残っていたので、現在のようなコロナウイルスの状況下ではなかったでしょう。

 

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https://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:https://hotel.travel.rakuten.co.jp:443/hotelinfo/plan/166163

ここら辺は施設に問い合わせれば一発でわかるとは思いますが、そこまでする必要性があるかな…とは感じます。

 

京都の宿泊料金はあがっている?

無論、中国人観光客の激減による京都観光の打撃がないという話ではありません。が、宿泊料金の変動については、そこら辺だけでは語れないだろうという気もします。

 

例えば、京都市が行っている「京都観光総合調査」によれば、日本人観光客の1人あたりの宿泊費の推移*9は以下のようになっています。

 

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平成26年にぐっとあがっているのは、「外国人宿泊客数が183万人と前年比約1・6倍に急増」*10し、それにあわせて宿泊料の増加がおこったそうで、基本的には増加傾向です。

 

ただ、業界の実感としては価格は低下していると感じているようで、その原因には、新規ホテルの増加で稼働率が下がることによる、需給のアンバランス感です。

 

売却したホテルの9月度の平均客室単価は9213円で、15年同期から2割超下がった。同社は、新設ホテルが開業当初に行うキャンペーンが価格競争につながっていると指摘。「新しいホテルが既存施設並みの価格を提示されると、こちらも値下げせざるを得ない」とこぼす。

京都のホテル稼働率と価格低下 相次ぐ新規開業で、保有ホテル売却も|経済|地域のニュース|京都新聞

 

上記が正しいかはともかく、結果としてこの時期の京都市内のホテルの料金が下がったとしても、その要因はコロナウイルスだけではないかもしれない、ということです。

 

今日のまとめ

①当該ツイートの宿泊施設は価格帯の安いホステルなどである。

②極端に安い価格は限定的なキャンペーン価格や、5名利用などの条件の厳しいものであったりする。

③当該宿泊プランはコロナウイルスの前から設定されている。

④仮に京都市内の宿泊料が下がったとしても、コロナウイルス「だけ」を原因とするのは早計だろう。

 

当該ツイートの方は宿泊施設関係者のようで、それを踏まえると少々不用意な発言で、いけずですね。誤解であれば訂正したほうがよいでしょう。