【6/5追記】
Dickinsの訳についてちゃんとした資料が手に入りましたので、そちらを追記しました。
大変長らく更新が空きました。何もしていなかったわけでもなく、コツコツ資料集めをしていたりしたのですが、現実もなかなかせわしなく、歳のせいか夜も全く起きられず、ちょっと納得のいく記事が書けずにおり、twitterでごまかしておりました。
ただ、ここまで更新があくとみなさんにも忘れ去られてしまいますので、今日は簡単な検証記事をひとつお届けしたいと思います。
先日、高畑勲監督が亡くなられたことは、私にとってそれなりのショックだったのですが、『かぐや姫の物語』が金ローで放映された時のツイートが話題になっておりました。
かぐや姫の物語はロンドンで字幕付きを観ました。作品そのものもさることながら、一番衝撃を受けたのは「まつとし聞かば今帰り来む」の英訳が素晴らしかったことです。
— 英語はおかず (@letseatenglish) 2018年5月18日
ご存知の通り、この詩は「まつ」が「松」と「待つ」の掛詞になっています。なんと英訳でもこの掛詞が成立していたのです。
その英訳がこちら:
— 英語はおかず (@letseatenglish) 2018年5月18日
If I hear that you pine for me, I shall return to you at once.
To pine for 誰か・何かを恋しく思うこと、思い焦がすこと
そしてなんとpineは松という意味もあるのです。この素晴らしい英訳はIan MacDougallという方が担当されたそうです。
翻訳は難しいものですが、その中でも詩歌はトップクラスに困難を極めるものです。「まつ」と「Pine」をかけた、原文のよさをうまく表した表現です。ただ、ツイート主さんは、この英訳を、『かぐや姫』の英語版担当のIan MacDougall*1のものとしていますが、私はそこに疑問を感じたので、調べてみました。
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