みなさんはネコはお好きですか?私は昔から好きで、生まれた時からネコがいましたし、海外にいたときもネコを拾って育てていたし、ネコがいない生活を送っているのは本当にここ数年といったところです。
そんな無聊を慰めてくれるのに、確かに猫カフェはうってつけで、時たま遊びにいきますが、少々料金が高いのが厳しいところなので、私は通勤経路にあるいろいろな猫スポットを把握していて、寂しい時はときどき路上で遊んでいます。
さて、そんな猫カフェのツイートが話題になっていました。あえて元ツイートはあげませんが、内容としては、
サンフランシスコの猫カフェが、「全部里親が見つかったから」という理由で閉店した
というものでした。しかし、アメリカと猫カフェがあまり結びつかなかったこと、ツイートの会話の中で、どうもこの話が、英語の先生からの「伝聞」であったことから、本当にそんなカフェは存在するのか、というところを調べてみました。
アメリカの猫カフェ事情
アメリカで猫カフェが流行り始めたのはどうも最近のようで、一番はやいもので、2014年4月ごろとなります。
Purina One’s pop-up Cat Café in NYC
http://www.nestle.com/media/news/purina-one-pop-up-cat-cafe-new-york
これはネスレが企画したイベントで、4月の期間限定たちあげだったようです。 ネスレはキャットフードも扱っていて、その宣伝もかねてといったところでしょうか。遊ぶだけでなく、里親になることもできたようです*1。
さて、ここからアメリカのいろいろな州で猫カフェが立ち上がるわけですが、ネット上で調べられる限りを一覧にしてみました。
名前 |
設立 |
場所 |
備考 |
Catfe*2 |
2016/5 |
LA |
資金集め頓挫 |
Crumbs & Whiskers*3 |
2016/9 |
LA |
ワシントンの2号店 |
Purina One’s pop-up Cat Café *4 |
2014/4/27まで |
NY |
ポップアップ店としてアメリカ初 |
Meow Parlour*5 |
2014/12 |
NY |
NY初 |
Little Lions*6 |
2015/12-2016/9? |
NY |
閉鎖? |
Cat town café*7 |
2014/10 |
オークランド、カリフォルニア |
全米初 |
ClevelandCatCafe*8 |
未定 |
オハイオ |
規制が厳しく挫折 |
The Cat Café*9 |
2015/1 |
サンディエゴ |
|
Kittea*10 |
2015/6 |
サンフランシスコ |
サンフランシスコ初 |
Green cat rescue café*11 |
? |
サンフランシスコ |
挫折? |
Seattle Meowtropolitan*12 |
2015/1 |
シアトル、ワシントン |
シアトル初 |
Kitty Kafe*13 |
2014年ごろ一時的? |
シアトル、ワシントン |
Kickstarterで資金集まらず挫折 |
NEKO*14 |
未定 |
シアトル、ワシントン |
資金集め途中 |
catmosphere*15 |
中止 |
シンシナシティ、オハイオ |
挫折(主催者の仕事の都合) |
DENVER CAT COMPANY*16 |
2014/1 |
デンバー、コロラド |
|
Planet tails*17 |
2014/12-2015 |
ナポリ、フロリダ |
資金難のためクローズ |
PurringtonsCatlounge*18 |
2015/1 |
ポートランド、オレゴン |
太平洋岸北西部初 |
Crumbs & Whiskers*19 |
2015/7 |
ワシントン |
|
これを見ると、結構資金繰りがうまくいかなくて閉店したり、そもそも資金が集まらなかったりと、難しい部分が多々あるようです。
サンフランシスコにはあるものの・・・
その中で、サンフランシスコには2店舗見つけました。
Kitteaという猫カフェは有名なようで、順調に経営しているように見えます。
少なくとも閉店したようには見えません。
ではもう一つ、「Green cat rescue café」ですが、これはそもそも実態があったのかどうかが不明です。
2014年4月ごろに、Kitteaに続いて出店が計画されている旨が、いくつかの記事に出ているのですが、
Second cat cafe comes to San Francisco
10万ドルを目指して出資を募っている旨が記載されるばかりで、実際に出店をしたという記事は出てきません。そして、「greencatcafe.com」のアドレスは、現在はなにやらグルーミングのお店に買われてしまったようで、見る影もありません。
ということは、ネット上で探せる限りは、ということにはなりますが、どうもサンフランシスコで開店し、そして最近閉店したという猫カフェはなさそうだ、ということになります。
他の州で検討する
この話は伝聞のようなので、地名が変わってしまったという可能性もあります。他の州にも広げて考えると、最近閉店した店は、次の3つが挙げられます。
・Little Lions(2016年9月ごろ閉鎖?)・NY
・Planet tails(2015年に閉鎖)・フロリダ
・Purina One’s pop-up Cat Café (2014年期間限定)・NY
このうち、おそらく2016年中に閉鎖したであろうLittle Lionsは、NYPの記事によれば、どうも同年2月にNY市の保健局からお達しが合ったようで*20、そのあと再開したのかもしれませんが、結局現在は閉鎖しています。これが一時的な措置なのかどうかは不明ですが、少なくとも「里親が決まったから」という閉鎖理由ではなさそうです。アメリカで猫カフェが流行りにくい理由の一つに、この厳しい食品への衛生基準があるんだそうです。
Planet tailsは、資金難のために閉鎖を余儀なくされたことを自身のサイトで述べています。
Sad news.. Planet Tails is closed. The shop just didn’t make it.
http://web.archive.org/web/20160110105707/http://planettails.com/
そこにはあわせて、「44匹の猫」の里親が決まったことも書かれており、なるほど、これはツイートの内容ともあう気はします。しかし、全てではないようで、店にいた猫は「Collier Domestic Animal Services 」という、動物の保護施設に戻されたことも書かれています。ふうむ、フロリダですが、近いといえばこれが近いでしょうか?
また、「Purina One’s pop-up Cat Café」は、冒頭紹介したネスレの期間限定の猫カフェで、里親募集も同時に行っていたようです。全ての猫が引き取られたかどうかは不明ですが、1ヶ月ほどの限定の開店だったこともあり、そういう可能性もあります。2014年と最近というには少々古いですが、この話が変わった可能性もあります。
というわけで、現段階で「サンフランシスコの猫カフェが、「全部里親が見つかったから」という理由で閉店した」という内容に近いものは、
①フロリダのPlanet Tailsの資金難による閉店の際に、多くの猫の里親が円満に決まったことが改変された
②NYのネスレの期間限定の猫カフェが里親募集をしていたことが改変された
の2つかなあと思われます。もちろん、インターネット上に出ていない情報や探しきれていないものもあるかもしれませんので、あくまで推測だということは、ご承知おきください。
「猫カフェ」が閉まることは美談か
さて、今回の本題は、サンフランシスコの猫カフェを探すことではなく、「猫カフェ」が閉まること自体が、いい話なのかどうか、ということです。
現在アメリカにある猫カフェは、PetcoFundrationのような動物関係の財団から資金援助を受けたり、シェルターと手を組んで猫を引き取ったりと、商業的な側面よりも、動物愛護の観点からの運営が多いように思います。恐らく日本よりも、動物愛護のルールは厳しいであろうかの国にとって、その出発点は当然かもしれません。
サンフランシスコにはAnimal Care & Control(ACC)という州が運営しているシェルターがあります。日本で言う保健所に近いでしょうか。
ここの統計によれば*21、2014~2015年の間に、ACCが収容した猫は2426匹で、うち、安楽死させたのは197匹で、生きて返した割合は92%との事です。それまでは、ライブリリースの割合が8割でとどまっていたことを考えると、Kitteaのような猫カフェが果たした役割もあるのかもしれません*22。
つまり、猫カフェの閉鎖というのは、現在のアメリカの状況においては、猫のシェルターをひとつ失うということでもあります。その段階で店にいた猫は里親にもらわれたとしても、その先の猫については保証がなくなるということになります。別の事由で閉鎖を余儀なくされ、結果的に全ての猫が里親に出されたならば、確かに「よかったよかった」だとは思うのですが、「猫カフェの閉鎖」自体は、日本人的に思うほど、あまりいいニュースではないのではないか、と私は考えます。
今日のまとめ
①「サンフランシスコ」の猫カフェは2件あるが、1件はまだ運営中であり、もう1件はそもそも開店ができなかったように見られる。
②サンフランシスコ以外で、最近閉鎖した猫カフェは3件あるが、1件は保健局の指導の結果であると推察され、もう1件は資金繰りの悪化のため、もう1件はそもそも期間限定の運営だったためと、今回の「里親」の件に合致する店はない。
③アメリカにおいて、猫カフェは、猫のシェルターの役割を果たしている部分もあり、里親にもらわれたからといって、閉鎖すること自体は、ただの「いい話」ですまない部分もあるのではないか。
少し本論とずれますが、私のこのブログの運営方針は、あくまで自分の興味のある部分を明示された資料を渉猟し補完していく、というものであり、デマを糾弾するとかそういう正義の人間でもありません。いってしまえば、このスタンスは、ホームズの「ぼくには事件の興味が第一で、依頼人の身分などさしたる問題じゃないんだ」というものです。今回の件は又聞きということでもあり、事実関係は必ずしも正確ではないでしょうが、しかしそんなことも呟けない時代というのは息苦しいものでもあると思いますし、他人を誹謗中傷するようなものでない限り、まあええんじゃないんでしょうか、と考えています。誰かがどこかで書いていましたが、書き手よりも読み手が「これってほんまかいな」ぐらいで妄信しすぎない姿勢の方が大事なんじゃないかなあと思います(私もよく間違えますし・・・)。
閑話休題。
今回調べてみて(アメリカの猫カフェを網羅的に調べた日本人は私が初めてでは?)思ったのは、アメリカにおいては、どうやら猫カフェがスモールビジネスとして成立しつつある、ということです。Kickstarterで資金を集め、地域の団体と連携しながらビジネスを立ち上げていくなんていうのは、アメリカの方が好きな感じの方法かもしれません。日本とは少々成り立ちが違うアメリカの猫カフェが、今後どういう発展をしていくのか、猫好きの人間しては期待したいところです。
*1:People are waiting for 2 hours to get into a cat cafe | New York Post
*2:http://web.archive.org/web/20160505055752/http://www.catfela.com/
*3:http://crumbsandwhiskers.com/the-story
*4:http://www.nestle.com/media/news/purina-one-pop-up-cat-cafe-new-york
*5:http://www.meowparlour.com/concept
*6:http://web.archive.org/web/20161105113120/http://www.littlelionsnyc.com/
*7:http://www.cattownoakland.org/about-us/#about
*8:https://www.facebook.com/ClevelandCatCafe
*9:https://www.catcafesd.com/us/
*10:https://www.kitteasf.com/our-story/
*11:http://web.archive.org/web/20160504063510/http://www.greencatcafe.com/
*12:https://seattlemeowtropolitan.com/thecafe
*13:http://web.archive.org/web/20160119125726/http://www.seattlekittykafe.com/
*14: http://www.nekoseattle.com/our-cafe/
*15: https://www.facebook.com/catmospherewine/timeline
*16:http://www.denvercatco.com/about-us/
*17:http://web.archive.org/web/20160110105707/http://planettails.com/
*18:http://purringtonscatlounge.com/home/
*19:http://dc.eater.com/2015/7/7/8906509/the-early-word-on-crumbs-whiskers
*20: “Live animals other than fish in tank or service animal present in facility’s food and/or non-food areas,”とあり、これは猫カフェの存在そのものの否定にも思われます。NYは厳しいんですかね。その解決策として、お客は食べ物を買って、一度外に出て、また別の入り口から入るというかなり面倒な方法をとらなければならないと、NYPは書いています
*21:Shelter Statistics - San Francisco Animal Care and Control : San Francisco Animal Care and Control
*22:Cat Cafes Make a Successful Debuts in the U.S. | Pulitzer Center