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ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

インドの郵便局はガンジス川の水を売るのか、私ってよく誤解されるんです

海外ニュース

深い河 (講談社文庫)

 

今日はちょっと短めな、新聞記事の検証。

インドの郵便局が、ガンジス川の「聖水」を通販する、という話。

this.kiji.is

インドの「プラサド情報通信技術相」が、ガンジス川の「聖なる水」を、インドの郵便局で「インターネット販売」するように指示したんだとか。ネット上では「細菌まみれの汚水を通販とは…」「なんかやばそう」と、ガンジス川の衛生面で、そんなもの売って大丈夫なのか?という反応が多いようです。

 

私はインドには行ったことないのですが、お近くのネパールには訪れたことがあり、日本に帰国してから謎の高熱と下痢に悩まされた経験があるので、それ以来あちらの方面には及び腰になっています。個人的にはお近づきになりたくない商品です。

 

と、同時に、インドのこういう話が日本に伝わるとき、某かの誤解がある場合が多いので、そこらへんがどうかな、という感じで調べてみました。

 

 

***

 

 

共同通信は「PTI通信などによると」という伝え方をしているので、そのPTI通信の元記事を探してみます。


Gangajal by post to be a reality soon

 

5月30日の記事で、「ガンジス川の聖水をインターネット通販してほしいという要望をいくつか頂いている*1」「郵便でケイタイやサリーや宝石を届けられるなら、なぜガンジスの聖水を届けられないのか*2」と、「Telecom Minister Ravi Shankar Prasad」が言っているというので、どうやら、そうやって通販することになるだろうことは間違いないようです。

 

しかしながら、ちょっと気になるのが、その続きの大臣の言葉で、彼はこう述べています。

 

SpeedPost(EMSなどの郵便)の歳入は2013-2014では137.2億Rsだったものが、2015-2016では160億Rsに増加しており、オンラインショップによる着払いの売り上げは10億Rsから130億Rsまで同期間で増加している*3

 

つまり、今回の話の主眼は、「ガンジス川の水を販売します!」よりも、「通信販売の収入増加による事業拡大」なんじゃないのかな、という気がするわけです。

 

というわけで調べてみると、どうも以前から、この「ガンジス川の水の販売」は行われているようです。一番古いのは1988年(書き間違いではない)のNewYorkTimesに記事が出ています。

www.nytimes.com

この記事では、「Mr. Meattle」が「the purity of Ganges water」を、従来の「真鍮」などの容器ではなく、「プラスチック」の容器で販売する、という話が掲載されています。1988年ですからね、これは画期的な部分もあったんじゃないんでしょうか。

 

ついでにいえば、amazonでちゃちゃっと検索しても、この聖なる「ガンジス川の水」は販売されています。

www.amazon.com

www.amazon.com

www.amazon.com

下流のガンジス川ではなく、ギャンゴットリというヒマラヤ山脈の水源からとってきている*4、という感じのものもありますが、まあ、商品としては昔から存在しているのでしょう。というか、通信販売する前から、観光向けなり巡礼向けなりに、ガンジス川の水を売る、というものは存在していたわけです。

 

実はインドの郵便局は、これに先駆けて、というわけでもないんでしょうが、この「ガンジス川の聖水」を、既に局内では販売をしています。2015年12月8日の記事。

 

Haridwars Gangajal is available In Dhanbad post office : City Live Jharkhand

 

ヒンドゥー語なのでGoogle先生頼みにはなりますが、上記記事によれば、「10ml、230ml、350ml」の大きさで、それぞれ「10Rs、18Rs、22Rs」で販売されているとの事です。写真には、聖水であろうプラスチックボトルを渡す局員のおばさんが写ってます。別段触れられてはいないのですが、恐らくこの商品を通信販売にも対応させる、というところなんではないでしょうか。

つまり、今回の話は、郵便局が「ガンジス川の聖水を販売するぞ!」がメインではなく、「通信販売に力を入れるぞ!」という経済戦略的な話なわけです。

 今日のまとめ

①「ガンジス川の水を売る」という行為は既に古くから行われている。

②今回の記事の主眼は、成長著しい電子商取引(オンラインショップ)に郵便局が「ガンジス川の水」という商品を足がかりに進出をする、という内容である。

 

しかしながら、各種日本のメディアの記事を読むだけだと、どうも「インドの郵便局が初めて「ガンジス川の水」を販売する」と読めてしまいます。少なくとも私は最初はそう思いました。

 

ガンジス川の水、郵便で宅配可能に インド政府が通販サイト整備へ 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

ガンジス川「聖水」ネット販売へ…インド通信相 : 国際 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

インド:ガンジス川の水を通販へ - 毎日新聞

ガンジス川の「聖なる水」を通販へ インドの郵便局 :日本経済新聞

 

「ガンジス川の水の販売」の話がどこまで常識の範囲の話かわからないのでなんとも言えませんが*5、一言記事内に「昔からガンジス川の水の販売は行われているが、公的な機関での電子取引は初めてで…」ぐらい入れると、誤解されないんじゃないかなあと思いました。とかく日本のメディアが伝えるインド記事は不正確且つ続報ナシなことが多いので…*6

 

しかし、別のインドの記事によれば、「遅延で悪名高いインドの郵便局が…」みたいな書かれ方をしているので*7、この話はそんなにうまくいくかしら、という気もします。まず、その販売サイトができたら拝見したいところです。

 

 

 

 

*1:I used to get several request that with vast network of post can we get Ganga water.

*2:If postman can deliver, mobile phones, sarees, jewellery, apparels then why not Ganga water

*3:He said speed post revenue of the department has increased from Rs 1,372 crore in 2013-14 to Rs 1,600 crore in 2015-16 and cash on delivery collections for e-commerce parcels has increased from Rs 100 crore to Rs 1300 crore in the same period.

*4:えらい山奥ですな

*5:もしかしたらそんな誤解をしているのは私だけなのかもしれない

*6:宣伝もかねて。過去のインド記事。

ibenzo.hatenablog.com

ibenzo.hatenablog.com

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*7:home delivery of the holy ganga jal will now posts: ख़बरें: आज तक

ヒンディーなので機械翻訳ですが、冒頭の一文は、きっとそんなことが書いてあるんだと思います