ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

【訂正】「FREE Tea」を「無料」と勘違いした外国人はいるか、インド人はみんなカレー食べてる

【11/6 追記】

YahooAnswersの回答の訳に誤りがあったので訂正しました。

 

ちょっと前の話題ですが、「FREE Tea」という名称について物議を醸したことがありました。

togetter.com

ポッカが出している「FREE Tea」という紅茶のペットボトルがあるのですが、それをアジア系の外国人が「無料」だと思ってとってしまってひと悶着、という話。

www.pokkasapporo-fb.jp

 

この「FREE」はポッカさんにとっては「ストレスフリー」な意味だったような感じなのですが、英語圏の人にとって「FREE Tea」と来たら、「無料」の意味に捉えてしまったということでしょう。ツイート主は、このデザインを変えたほうがいい、というような結論をしています。

 

うーん、私も「FREE Tea」という表現を読んだら、確かに「無料」と捉えるか、あるいは、「砂糖か何か」が入っていないというどちらかの意味として考えるかな、と思います。しかし、だからといって、無頓着にとるかなあという感じもするので、そういうニュアンスを探ってみました。

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昏睡後にスペイン語をしゃべりはじめた少年は存在するか、心の汚れた大人たち

先日、スプートニクがアクロバティックな誤訳をしたことが話題になりましたが、以前私が書いた記事も相当アクロバティックでしたよ。

ibenzo.hatenablog.com

 

で、本日もそんなスプートニク発の話題。

 

jp.sputniknews.com

 

サッカーの試合中に頭部を蹴られたアメリカの少年が、昏睡状態から目覚めると、今まで話せなかったスペイン語を流暢に話したとのこと。

まー、ほんまかいなという感じのする内容だったのですが、調べてみると、一つの病気として認知されつつあるようでしたので、そのことを書いてみたいかと思います。

 


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【確報】「無礼で傲慢」とノーベル賞選考関係者はディランを評したのか

【10/23 14:46追記】

Wästbergの今回の件に関するコメントが届きました。

www.dn.se

DN(ダーゲンス・ニュヘテル)というスウェーデンの大手新聞社の記事です。「憶測で違う表現が伝わっている」として*1、こうコメントしています。

 

Det var säkert fem dagar sedan jag fick frågan ”Om Dylan inte hör av sig på många många veckor, hur skulle du då betrakta hans beteende?”. Då sade jag att ”Då måste jag nog säga att det vore oartigt och arrogant”. Adjektiven jag nämnde är inget att bry sig om, Dylan står både över och under allt sådant,

正確には5日前のことだったけど(訳注:10月18日のこと)、私はこう聞かれたんだ。

「もしこのままディランが長い長い間何も反応しないとして、そういった彼の振る舞いについてどう思われますか?」

それで私はこう答えたんだ。

「そのとき、私は無礼で傲慢な振る舞いだというべきなんだろうね」

私はこのコメントで、特に(彼の振る舞いは)困っていないということを伝えたかったんだ。それ以上でもそれ以下でもないよ。

つまり、記者の「仮定」の質問に対して、彼は「もしそうなら」という形で答えたわけです。だから、既に本記事で書いたとおり、SVTのコメントで彼は「Man」という客観的な人称代名詞を使い、「vad ska man tänka?(何を思えばいいかってこと?)」という表現を注意深く使ったわけです。SVTではかろうじて残っていたその表現が、他のメディアに英訳された際に、カットされ、推測され、意味が変更され伝わってしまったということなんでしょう。ちょっと言い訳くさいけど、おお、私が書いた通りではないですか!

 

彼は続けてこう言います。

 

– Vi var medvetna om att han kan vara besvärlig och att han inte gillar framträdanden när han inte står ensam på scenen, så vi räknade kanske med att det skulle hända någonting. Men jag tror ingen av oss räknade med att han skulle hålla sig absolut tyst, säger Per Wästberg.

Per Wästberg vill inte spekulera kring vad som ligger bakom pristagarens tystnad.

「我々は、ディランが気難しく、一人でステージの上に立つことを好まないことを知っていたし、恐らく何かがおこるだろうということも計算していた。けれども、ここまで全くの沈黙を貫くということは予想できなかったよ」

Per Wästbergはディランの沈黙の背景について推測することはしたくないと言った。

ある程度、ディランがネガティブな反応をするだろうということを、アカデミーの面々が予想していたということは前回記述したとおりです。ここまでのノーリアクションは予想外なんでしょうけど。

 

というわけで、このDNのコメントが正しければ、私が書いた記事はおおよそ正しいということになるんでしょう。あとは翻訳の間違いがなければ、これで確報としたいと思います。なにか思い違いしていないかちょっとドキドキしますが。

 

 

【10/23 10:43追記】

スウェーデン・アカデミーから、今回のWästbergの発言に関する公式の発表が出ましたので追記します。

www.svenskaakademien.se

アカデミーは「受賞者の決断に対していかなる見解ももたない」として、Wästbergがディランの返事が遅れていることに対して「失望を表明(uttryckt sin besvikelse)」したことについて、あくまで「個人的意見(personliga mening)」と強調しており、公式の見解ではないことを言っています。スウェーデン国内でも、この「無礼で傲慢」という発言はやはり強く聞こえたようです。

 

うーん、でも言葉の選び方に難があったとはいえ、個人的にはやはりWästbergの発言にはディランに対するリスペクトがうかがえるような気がするんですけどねえ(皮肉っぽいですが)。Wästberg自身のコメントがアップされたら、また追記します。

 

あと、ガーディアンの記事の訳し間違いについて訂正しました。

 

 

【追記終わり】

 

 

 

 

ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したことも話題になりましたが、未だに彼が受賞について何のコメントもしないことも話題になっていて、とうとうノーベル賞の選考関係者からこんな話が出てきました。

www.nikkei.com

スウェーデン・アカデミーのメンバーが、スウェーデンの公共放送で、「この事態は予測しなかった」と語り、彼を「無礼で傲慢だ」と批判したということです。

 

私がひっかかったのは、「スウェーデン公共放送」という部分で、要は英語圏以外での発言ということです。こういう発言は、往々にして伝言ゲームのように歪められることが多いので、さっそく調べてみると、「これは誇張されている(もしくは誤報)のでは?」と思う反面、「このスウェーデン語の翻訳は正しいのか」という思いもあるので、最後までお読みいただきご判断いただければと思います。

 

*1:Man kan spekulera hit och dit om olika saker, men det gör vi inte, säger Per Wästberg, som även är Nobelkommitténs ordförande.がそれにあたるかと

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日本人は恋愛に受身なのか、ここテストに出るぞー

結婚しない人が増えているなんて話題がありますが、今回は内閣府の調査が話題になっています。

this.kiji.is

日本と欧州4カ国の男女の結婚観などを聞いた国際意識調査の結果を内閣府が発表し、恋愛については「「相手からアプローチがあれば考える」と答えた人が日本では34.9%で」「欧州に比べて受け身の姿勢が強い傾向が浮き彫りになった」とのこと。

 

それにしてもずいぶんそっけない書き方で、調査名すら記載をされていないところがいかがかなと思いましたので、もう少し詳細を本記事で掲載できればと思います。

 

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戸塚ヨットスクールの幼児教育はヤバイのか、暴力と恐怖のパラダイムシフト

戸塚ヨットスクールというと、あの過激な体罰と言動の戸塚校長を今でも思い出せますが、そこが幼児教育を始めていて、物議を醸しています。

netgeek.biz

記事としてはここのnetgeekが初出に近いと思われます。netgeekは、戸塚ヨットスクールの幼児期の合宿である「戸塚ジュニアスクール」のテレビ番組の放送を元に、様々な「体罰的」指導を批判的に書いています。

 

しかし、戸塚スクールの是非よりも、この記事の作為的な書き方が気になったので、主にその点について書きたいと思います。

 

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村上春樹の小説以外をオススメする・その1

また今年もノーベル賞の季節がやってきました。この季節になると、全国のハルキストはそわそわしだすみたいですね。

kabumatome.doorblog.jp

今年はボブ・ディランというサプライズであり、毎年外野にワイワイやられる村上春樹もかわいそうなもんです。

私は、ブログタイトルからもわかる通り、村上春樹は結構好きです。もちろんタイトルは

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

 

からとりました。ちなみに『羊をめぐる冒険』は英訳名が"A Wild Sheep Chase"。これは"A Wild Goose Chase"という英語のイディオムをもじったものです。このイディオムは16世紀に遡る表現で、当時の競馬用語のひとつ。先を駆ける一頭の馬のあとを上手に他の馬が正確な距離を保って走ることを当時は目的としていて、そのキレイな馬の列がV字に飛ぶ雁を想起させることから、「野生雁の追跡」という名称で形容されるようになったんだそうです。それが、イディオムとして「何かを手に入れようといろいろやったけれど、結局それは時間の無駄だった」みたいに変化していったんだそうです。この小説にふさわしいオシャレな英訳ですね*1。当ブログも、ファクトチェックという「いろいろ確かめてみたけどやっぱり正しかった」という無駄足の作業がメインなので、それにあやかってつけました。

 

閑話休題。

 

昔はあまり好きではなかったのですが、英語の勉強がてらに読んだ英訳版*2が面白くて、それから読むようになりました。ハルキストのような傾倒は特にないのですが、時間が経つと読み返したくなる、不思議な作家です。小説については賛否両論がもう何十年と続いているわけですが、エッセイやら対談やらについて否定している人をあんまり見ません。

 

というわけで、そういう彼の「小説以外」の私的なオススメをしてみたいかなあと思います。

*1:以上、『英語で読む村上春樹』2015年5月号を参考にしました

*2:

 

めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女

 

 これの英語版です

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【訂正】本田は原口のプレーを「バカなミス」と酷評したのか、「全文はコチラ」を希望する

【10/15追記】

FourFourTwoらの本田のコメントが同一コメントではないかと書きましたが、何人かの方からどうもそうではなさそうだというご指摘を頂きました。オーストラリア戦直後の本田のコメントを動画で確認しましたが、それはスポニチなどのもの

本田圭佑4年ぶり1トップ「先制の形は良かった」 (日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

で掲載されており、本記事で紹介した本田のコメントは、その後のインタビューということになるでしょう。なので、「コメントはいつされたのか」は訂正いたします。

個人的には原口と本田のコメントの取り違えはありうるような気がするのですが、推測も多めなので、ということを留意してお読みください。

【追記ここまで】

 

私はあんまりサッカーに詳しくないのですが、オーストラリア戦のコメントが色々と出揃ってきたんですね。そんな中で、こんな本田のコメントが話題になっています。

zasshi.news.yahoo.co.jp

今回、1ゴールをあげた原口ですが、自身のペナルティエリア内のファールで、PKを献上、相手に1点あたえ、結局それが原因で勝利を日本は逃しました。そのファールのプレイについて、本田が「ただのバカなミスでしたね」と一刀両断した、という記事です。

 

うーん、サッカーのコメントがずいぶんつぎはぎにして書かれていたことを前に記事にしましたが*1、今回のもいかがでしょうか。

 

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