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ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

ニコラス・ケイジは幽霊屋敷を買ったのか、言いたいことも言えないこんな世の中じゃ

twitter 海外ニュース

ナショナル・トレジャー [Blu-ray]

話題というほどでもないですが、こんなツイートが目につきました。

 

 

ニコラス・ケイジは、日本だとちょっと気の弱そうなおじさんぐらいのイメージかもしれませんが(違う?)、そんなこともしていたんですね。

 

というか、本当にそうなのか?とも疑ってみたので、調べてみました。

 

***

 

ケイジは幽霊屋敷を買っている

さて、ケイジが買った家というのは、"Lalaurie Mansion"として有名な、アメリカのニューオリンズにある幽霊屋敷です。

 

Delphine LaLaurie - Wikipedia, the free encyclopedia

 

場所はここ。

  

 

マダムLaLaurieは、奴隷制時代のご婦人で、黒人奴隷を残虐な方法で何人も殺害していた人物として有名で、ケイジが買ったのはその彼女が住んでいた邸宅なんですな。なんでも拷問部屋があって、床の中から骨がいっぱい出てきたとか出ないとか*1。で、なんかいろんな心霊現象があって、持ち主はことごとく不幸になっているんだとか。どっかで聞いた話ですね。

 

なので、LaLaurie mansionは、アメリカでも有数の心霊スポットとして、観光ツアーまで組まれるほど有名なところなんだそうです。

 

で、ケイジは2007年にこの幽霊屋敷を購入しています。

 

Nicolas Cage buys house in New Orleans' French Quarter for $3,450,000

 

お値段は345万ドル。当時のレートでおよそ4億円*2。ははー、事故物件どころじゃないですな。

 

ケイジは何のために屋敷を買ったのか

では、こんな大金をはたいて、ケイジは何のために購入したのか。

2009年3月のインタビューで、ケイジはこんなことを述べています。

www.nydailynews.com

 

映画「Knowing」の公開にあわせたインタビューのようで、占いとかそういった話になったときに、記者から「幽霊屋敷を買ったって本当?」という質問を投げかけられています。

 

実際にニューオリンズに「ホーンテッド・マンション」は持ってるよ。他の奴らは浜辺を資産にしてるんだろうが、僕は幽霊を財産にしてるってわけさ、なんていつも言ってるんだけどね。何か経験をしたわけじゃないけど、僕はミステリーはちょっと好きだし、あの家はそんなミステリーを持ってるんだ。そのいくつかはぞっとしないものだけどね*3

 

その後、子供の頃にカリフォルニアのディズニーランドの、ホーンテッド・マンションがとても記憶に残っているんだ、というような話をしています。実は、この時点で、「ホラー小説を書きたい」という話は出てきていません

 

「ホラー小説を書きたい」という話が出てくるのは、2014年ごろからです。

sg.news.yahoo.com

whatliesbeyond.boards.net

どちらのサイトも、Dailymail関連の雑誌のインタビューを元にしているようなのですが、ちょっと元が発見できませんでした。

いずれにせよ、どちらも「He was hoping to gain some inspiration in writing his American horror novel.」つまり「彼はアメリカン・ホラー小説のインスピレーションを得たかった」という記述があります。

 

もちろん、この「幽霊屋敷を買った」話は有名で、インタビューのたびにそれまでも訊ねられていたようなんですが、「ホラー小説のインスピレーションを…」みたいな話が出てくるのは、この2014年を待たなければなりません*4。なぜ突然、2014年からは、そんな話をしだしたんでしょうか?

 

ケイジは財政難に陥っていた

私は、ケイジは幽霊譚のロマンだけでこの家を購入したのではないと思います。

たとえば、彼は同じ年にラスベガスにも豪邸を購入しています。

web.archive.org

お値段850万ドル。10億円ぐらいですか?すごいですな。

 

実は、幽霊屋敷と同じニューオリンズには2005年6月にも豪邸を購入していて*5、先ほどリンクを載せた「BERG」によれば、345万ドルだったとか*6

 

2005年以降というと、「ナショナル・トレジャー」が2004年に公開され、結構ヒットした後だと思います。浪費家としても有名なようですので、これ以外にもお城を買ったり、フェラーリをそろえたり、なかなかお金の使い方がすごいですな。

 

 

しかし、その浪費がたたったのか、リーマンショック以降の2009年に、彼は財政難に陥ります。そして、ニューオリンズの幽霊屋敷を含む、2つの邸宅を売り出すことになります。

money.cnn.com

2009年11月13日の記事として、彼は550万ドルの負債と151730ドルの固定資産税を抱えていることがかかれ、ラスベガスやカリフォルニアの物件も抵当流れにあってオークションにかけられる、ということも付け加えられています。

 

つまり、彼がこの物件を売ったのは、「小説が書けない」からでも「夜眠れない」からでもなく、ただただ「お金がなかった」ためだということになります。最初は投資目的も兼ねて購入した物件が、あれよあれよと財政難に陥り、売らざるを得なくなった、というところなんではないでしょうか。

 

ちなみにこの物件、まだ所有者はいないようです。

www.zillow.com

記事執筆時点では、約200万ドルと、かなりお買い得になってますよ。

 

アメリカン・ホラー・ストーリー

ニコラス・ケイジは、あまりこの失敗については語りたくないようで、そんなにインタビューに答えているわけではないのですが、やっぱり、突然出てきた2014年ごろの「ホラー小説のインスピレーションが・・・」みたいな話は気になります。

 

というわけで、ここは想像にはなるのですが、注目したいのが、ケイジは「the great American horror novel」という言い方をしていることです。

これで思い出すのが、2011年から放送が開始された、「アメリカン・ホラー・ストーリー」です。

 

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放送当時大ヒットしたテレビシリーズで、幽霊屋敷に越してきた家族の話が第1シーズンでは描かれています。

 

じつは、この第3シーズンの話に、ケイジが購入したLaLaurie mansionに元々住んでいたマダムLaLaurieが登場します*7。そして第3シーズンは2013年から2014年の間に放送されました*8

 

つまり、ケイジの2014年のインタビューの発言は、この「アメリカン・ホラー・ストーリー」の話題を受けての、ちょっとしたジョークだったんじゃないんでしょうか。「ボクもあの屋敷に住んでたんだから、もっとすごい『アメリカン・ホラー・ストーリー』が書けたんだろうに」ぐらいの意味だった、というのがワタクシの推測です。

 

今日のまとめ

①ケイジが2007年に購入したLaLaurie mansionは幽霊屋敷として有名な物件である。

②2014年以前のインタビューで、ケイジは、幽霊屋敷を購入した理由として、子どもの頃の思い出や、自身の奇妙な体験好きを例には挙げているが、「ホラー小説を書きたい」という理由は出てこない。

③物件を手放した理由は財政難からであり、「安眠できないから」などの理由は出てこない。

④2014年以降に登場する「ホラー小説」云々の話は、マダムLaLaurieが出てくるテレビドラマ「アメリカン・ホラー・ストーリー」の話題を受けてのジョークだったのではないか。

 

とまあ、こうやって検証していったわけですが、個人的には、現在広まっている「実はホラー小説が書きたくて幽霊屋敷を買った」という話の方が好きです。だって、「お金がなくって抵当に入れられて・・・」みたいな話より、断然物語性があるじゃないですか。

 

重箱の隅をつつくような記事ばかり書いている私ですが、こういう害のない話は、まあ別に細かいこと言わなくてもいいんじゃないかなあと思います。言った言葉がすぐに事の真偽をはかられる世の中なんて、ちょっと息苦しくないですか?と、こういうことを書いている張本人が言うのもなんですが、一応、ワタクシはその程度のスタンスでやってるんですよ、と主張して今回はオシマイにしたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:ただ、個人的には、この話はかなり尾ひれはひれがついているので、どこまでが真実なのかは不明瞭です。こんな検証ページもありました。ちょっとアヤシイサイトですが。

LALAURIE HOUSE www.hauntedamericatours.com

腰を入れて調べていないのですが、誰か研究してもよさそうなんですけどね。

*2:

USD JPY 過去のデータ-Investing.comを参照。記事の日付4月24日の1$=118円で計算

*3:It was indeed considered the "haunted mansion" in New Orleans. You know, other people have beachfront property; I have ghost front property - that's what I always say. I have not experienced anything, but I like a bit of mystery, and the house has such a mystery to it. Some of the stories about it are pretty horrific.

Cage is back with digit-al thriller 'Knowing' - NY Daily News

*4:たとえば、日本のサイトならば、2chの過去ログで申し訳ないですが、以下のもの。

【海外】ニコラス・ケイジの豪邸は呪われた屋敷!?「家の中には常に5人から6人のゴーストが居るんだよね」

これは2008年の記事で、「安眠ができない」という話はしていますが、「ホラー小説を書きたい」という話はしていません。

同じような話で、なぜかポーランドのサイト。

Nicolas Cage ma najbardziej nawiedzony dom w USA - SE.pl

ググってみた限りでは、上記と一緒。小説の話は出てきません。それにしても上記の記事内容は、英語圏で全く出てこないのが不思議。

*5:

*6:Nicolas Cage buys house in New Orleans' French Quarter for $3,450,000

Cage also owns a house at 2523 Prytania Street in the Big Easy's Garden District, which he bought in June 2005 for $3,450,000 through his Hancock Park Real Estate Company, according to public records.

*7:アメリカン・ホラー・ストーリーの登場人物 - Wikipedia

*8:

American Horror Story: Coven - Wikipedia, the free encyclopedia