ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

ハチミツと育児の歴史、夥しい死者の群れ

 

ハチミツとクローバー (10) (クイーンズコミックス―コーラス)

ハチミツを食べた赤ちゃんが、ボツリヌス症を発症し、亡くなったというニュースが先ごろありました。

 

その際、クックパッドなんかに、離乳食用にハチミツ入りのレシピが公開されていて、問題が指摘されておりました。

 

 

www.oricon.co.jp

 

 

同時に、「ハチミツ」とボツリヌス症の関係が日本で注意喚起されたのは1987年と歴史が浅く*1、まだ十分に知られていないのではないか、という指摘もありました*2

 

「乳児とハチミツ」の危険性が、なぜ完全には広まっていないのか、という部分について、そもそも、「ハチミツ」と「乳児」がどのように日本で関わってきたのか、という歴史を今日は紐解いていきたいと思います。

 

*1:http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/08/09302.htm

*2:

 食餌性ボツリヌス症は以前から知られていましたが、乳児ボツリヌス症は1976年にアメリカ合衆国ではじめて報告されました。わりと新しい病気と言えます。日本での最初の報告は1986年ですので、30年ぐらい前です。そのころには蜂蜜がボツリヌス芽胞に汚染されていることが知られており、翌年の1987年には厚生省が1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう通達を出しています。

なぜ乳児に蜂蜜を与えてはいけないのか:朝日新聞デジタル

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ペンギンは「飛べない」イメージか、山崎まさよしがペンギンマスター

こんなツイートが話題です。

 

 

私はこの方のツイートがとっても好きで、よい意味で意味の無い含蓄のある言葉を諸々呟かれているのです。今回もその一環なのですが、ずいぶん話題になってしまったからか、めずらしく、

 

 

「端的に言えば嘘です」と、フォローを加えていました。

 

でも、これだけ話題を集めるということは、「ペンギンは飛べないけどがんばる・がんばれ」みたいなイメージをみなさんが共有しているということなんでしょう。どうでもいいことが気になる身の上としては、どうでもいいと思いながら、日本の歌謡業界において、ペンギンはどういう立ち位置なのか気になってしまったので、調べてみました。今日はネタみたいなもんです。

 

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サルに育てられた女の子は存在するか、オオカミ少女がいないように

インドでサルに育てられた少女が救出されたというニュースが話題です。

 

news.ameba.jp

 

「衣服を身に着けて」おらず、「サルの群れの中」で過ごす少女が保護されたんだとか。彼女は、「動物のように四つん這いで走り、床から物を食べた」り、「話すことはまだでき」ないとのこと。

 

 

どうもこうも疑わしいニュースです。調べてみました。

 

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8時間を1000年に感じる薬は存在しない、現代の罪と罰

世にも奇妙な物語 DVDの特別編3

 

こんなツイートが話題になっていました。

 

 

イギリスで、薬を使って現実の8時間を1000年に感じさせる刑罰が考えられ始めているとのこと。例のごとくツイッターからまとめサイトへ貼られて拡散しておりますが、どーも調べてみると、そんな薬は存在しないだけでなく、話の主旨もずれているようだったので、今日こそ短めに記事にしたいと思います。

 

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銃剣道はなぜ指導要領に入れられたのか、三度の文科省

九櫻(クサクラ) 木銃1・3米 GW1

 

どーも文科省ネタが続くんですが、今日話題になってた「銃剣道」の話。

 

www.huffingtonpost.jp

 

中学校の体育の「武道」の項に、「銃剣道」なる耳慣れない競技が入ってきて、人によっては「戦前回帰では」みたいな論調でも語られています。

 

私も浅学ながら初めて聞いた競技ですので、どうしてこの「銃剣道」が次期指導要領に入れられたのか、文科省の気持ちになって記事を書いてみたいと思います。最近長い記事ばかりなので、今日は短めにがんばりたいと思います。

 

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日本の科学力を下げたのは誰なのか、悪代官を疑え

nature[Japan] March 23, 2017 Vol. 543 No. 7646 (単号)

 

ネイチャーの、「日本の科学力がだだ下がり」という記事がいろいろと話題になっています。今日はそんななかで、ずいぶんリツイートを集めているツイートが気になりました。

 

 

ありそうな話です。ありそうな話なんですが、果たしてこの手の言説はどこまで正しいのか?ということを、今日は小姑のように細かい部分にこだわって検証します。

 

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【追記】道徳の教科書の「パン屋」は不適切なのか、道徳のマニュアル化

【3月29日追記】

 

文科省のコメントをとってきたメディアがあるので、のせときます。

news.nifty.com

 

パン屋が和菓子屋に修正された教材は、検定時に書籍全体として『我が国や郷土の文化と生活に親しみ,愛着をもつこと』という項目の、特に『我が国』の部分の記載が充足していませんでした。そのため、教科書全体を通してこの部分を記載するよう指摘したまでです。パン屋の個所が悪いという意図はありません

 

まるで当該エントリをそのまま読んだかのようなコメントと記事内容です、とジガジサーン。

 

【追記終わり】

 

 

道徳が平成30年から教科化されますが、その検定について話題になっています。

 

web.archive.org

 

 

「パン屋」という表記が「国や郷土を愛する態度」に対して不適切であるという事で、「和菓子屋」に変更されたという内容が、「戦時中かよ」というようなツッコミを誘っていました。

 

とはいっても、文科省もそこまでおばかさんではないと思うので、どんな意図があるのか。この検定というのはその内容がなかなかわからないんですが、3月24日に放映された時論公論でNHKがとりあげてくれたので、それを紹介するような形で今日は記事にします。

 

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