【2/18追記】
横浜市に、今回の疑問点を質問したところ、ようやくお返事が来ましたので、追記いたします。きっと一年で一番忙しい時期の中、一個人の質問に回答くださったことには大変感謝しております。
質問した要点は以下の2点。
①保護者に「保留児童」という言葉で通知をしているのはいつからか。
②2011年度から横浜市における「待機児童」の定義が変更されているように見えるが、それが事実かどうかとその理由。
回答は以下の通り。
①について(要約)
・平成24年度4月より、入所できなかった方向けに、「保留児童」と「待機児童」の違いを説明している。
・保護者への通知についても、子ども子育て支援新制度が開始されてからは(平成27年度から*1)、「施設・事業利用調整結果(保留)通知書」、それ以前は「保育所入所不承諾(保留)通知書」と通知している。
②について(全文)
国の待機児童の定義に変更はありませんが、横浜市において、国の定義に基づき、その運用を変更しました。
理由としては、各区において保護者の状況をきめ細かく把握するように努めたことから、平成23年度から「育休を取得されている方」を、また、平成24年度から「主に自宅で求職活動されている方」を待機児童から除外することとしています
ということで、今回当ブログが調べたことは、間違っていなかったということです。よかったよかった。いや、よくはないんだけど。
各項目について考察をするならば、横浜市としては以前より「保留」という言葉で待機児童との区別をつけていたつもりではあるが、それを実際に保護者へ説明するようになったのは2012年4月から、ということになります*2。待機児童ゼロは2013年ですので、一応、それより前に「保留児童」との違いは保護者向けに通知しているということになります。なので、やはり巷で言われるように「保留児童という言葉で誤魔化したから待機児童ゼロになった」という言説は、正確ではありません。
ただ、市は、「保留」という語は以前より使用していると説明はしているものの、それは「保留児童」ということではないわけで、保護者の方がそれで待機児童と区別をしていたかというと、そうではないでしょう。ここらへんがとてもお役所的だなと思います。結局、「保留児童」という表現を説明し始めたのが2012年度からなのですから、これは待機児童の誤魔化しじゃないか、と疑われても仕方がないでしょう。
それよりも問題なのが、やはり②の、「待機児童」の定義(市の説明としては「運用」)を変更していることでしょう。記事に書いたように、やはり「待機児童」の定義を、2011年度から「育休取得」を除外・2012年度から「自宅求職」を除外と変更しています。2010年から2011年の間にかけて、待機児童の数がぐっと下がっていますが(下記グラフ参照)、その下落率が保留児童と乖離していることから、この定義変更の効果もあったのでしょう(「育休取得」を加えれば971→1248人)。穿った見方をすれば、2011年はなんとか1000人切りたかった、ともとれます。
また、2012年度の「自宅求職」の除外ですが、「国の定義に基づき」と回答いただきましたが、国の「待機児童」の定義は、
保護者が求職活動中の場合については、待機児童に含めることとするが、調査日時点において、求職活動を休止していることの確認ができる場合には、本調査の待機児童数には含めないこと。
なので、果たして定義通りか、というところに疑問符はつきます。「自宅での求職活動」は「求職活動を休止している」と同義なのでしょうか?これは横浜市だけではないのですけども。
なるほど、「待機児童ゼロ」の2013年度から、「待機児童」の定義に変更はないわけですが、果たしてそれを「以前より、同様の解釈において「待機児童数」を集計しています」と言ってもいいのかどうか。なんでもかんでもオープンに説明すればいいとは思いませんが、この定義の変更はかなり大きいものだと思いますし、何等かの形で市民に告知をするべきだったのではないでしょうか。
また、定義を変更した理由を「保護者の状況をきめ細かく把握するように努めた」ためとしていますが、それならばその数を統計上で示せばよいわけで、何も「待機児童」から数を引かなくてもいいんじゃないかと思います。ちょっとここら辺は、回答に苦しんだのだろうと推察します。
とまあ、色々書きましたが、やはり市としては努力されていると思うので、何とか報われる形になって欲しいなあというところで追記を終わります。
【追記終わり】
一時期は、「待機児童ゼロ」で話題になった横浜市ですが、これは「保留児童」という言葉でごまかしてるんでねえかという話が、やはり昔から出ています。こんなツイートが目に付きました。
まあまあ確かに喧嘩を売っているようなお言葉ですよね。しかし、そもそも「保留児童」とは何か。調べると丁寧に解説しているサイトがいくつもあるのですが、その歴史的な背景と問題点について一箇所にまとめているサイトが少なめでしたので、一応、私も時流にのってみようかなと思います。
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