ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

「はたらくくるま」に戦車があるのは不適切か、畑を焼く

パソコンが壊れまして、なかなか更新ができませんでした。大変書きづらいサブ機で記事を書いています。私は資料が集まったら基本的に一気呵成に1日で記事を書きあげるのですが、今回は挫折しそうです。やたら更新日時が空いていると思ったら、パソコンがまだ買えていないんだと思ってください(以上意味のないあいさつ)。

 

さて、本日取り上げるのは、先月話題になった、子ども用の本に戦車が載っててあーだこーだという話。

 

幼児向け乗り物図鑑『はたらくくるま』に戦車などを載せたのは不適切だったと講談社が増刷中止を発表したことに、ネット上で様々な意見が出ている。

自衛隊の車がなぜダメなのかといった疑問も多いが、講談社側は、「武器なので、働く車と同列に並べるのは難しい」と説明している。

幼児向け図鑑に「戦車」は不適切? 講談社「はたらくくるま」増刷中止に疑問の声も : J-CASTニュース

 

まあ、いろいろ喧々諤々してました。

 

ネット上では、基本的に「表現規制だ!」みたいな流れだったのですが、その中で私が気になったのは、講談社の対応やむなしの意見たちです。ざっとまとめると、

 

①戦車などの車両は不適切ではないか

②戦車などの車両の量が多すぎないか

③幼児向け(3歳から6歳)には不適切ではないか

④車に関係ないものが多いのではないか

 

という感じだったかなあと思います。「自衛隊なんて子どもに不適切!」という極論まではあんまし見かけなかったと思います*1

 

私はあまのじゃくなので、①や③については、もしかすると今までの子ども向けの本に掲載されているんじゃない?とか、②については他の図鑑と比べて本当に多いの?とか考えてしまいましたので、「今までの子ども向けの車の図鑑と比べてどうなのか」という視点から、久しぶりに地道に調べてみました。

 

 

***

 

調査方法

今回やり玉に挙がっているのが以下の本です。

 

BCキッズ くわしい解説つき! はじめての はたらくくるま 英語つき

BCキッズ くわしい解説つき! はじめての はたらくくるま 英語つき

 

 

 

 

くだんの個所はこんな感じです。

 

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はじめてのはたらくくるま(講談社)2018 P20-21

「りくじょうじえたい」という項目で見開き2ページ、その次に、「こうくうじえいたい(+かいじょうほあんちょう)」「かいじょうじえいたい」が片側1ページずつ続きますので、自衛隊関係でいえぱ計6ページ割いていることになります。この本は全29ページなので、およそ5分の1を自衛隊関係で割いていることになり、なるほど、印象としてはちょっと多いです。

今回は以下のように検証しました。

 

 

【対象】

・小学生以下がメインターゲットであろう「車」「のりもの」関係の図鑑や絵本103冊(1980年代以降)*2

・ただし、「こうじげんばのくるまのずかん」のような、車種が限定された図鑑は陸自の車両が載るはずがないので除外している。

・改訂版は車両が変わっていることがあるため、同名の図鑑も検証対象としている。

【検証方法】

1.「陸上自衛隊」所属の車両が掲載された本をピックアップし、全体の割合を求める。

2.「×陸自車両なし」「△陸自車両あり(武器関係なし)」「〇陸自車両あり(武器関係あり)」に分類。

3.その本の中の自動車に分類される全車両数を数え*3、「陸上自衛隊」所属の車両がどれぐらいの割合をしめるかを計算(以下「陸自車両割合」)

 

「はじめてのはたらくくるま」の全車両は135台。今回は飛行機などは省き、陸上自衛隊のものに限ると陸自車両は22台ですので、約17%が「陸自車両割合」となります。これを基準として、他の本と比較してみました。

 

戦車を載せる図鑑は存在する

まず、どのぐらいの子ども向け図鑑や絵本で陸自車両を載せているのでしょうか。結果はこちらです。

 

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確かに陸自車両を載せている本は少ないのですが、今までなかったわけではありません。全体の1割程度でしょうか。13冊の内訳は以下の通りです。

 

書名 出版社 出版年 陸自車両
ニューワイド学研の図鑑 自動車 学習研究社 1987
こどもエリア 13 学習こどもずかん せかいののりもの 学習研究社 1987
小学館の図鑑NEO 乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船 小学館 2003
ニューワイド学研の図鑑 自動車・飛行機 学習研究社 2006
チャイルドブックこども百科はたらくじどう車図鑑 いろいろ501台 チャイルド本社 2008
ジュニア学研の図鑑 乗りもの 学習研究社 2008
小学館の図鑑NEO 乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船 小学館 2013
のりものスーパーずかん2237 株式会社学研プラス 2015
こども絵本エルライン 町ではたらく車 JTBパブリッシング 2017
講談社の動く図鑑MOVE 乗りもの 講談社 2017
マイポケットコレクション はたらくくるま ポプラ社 2018
世界の働くくるま図鑑 下巻 スタジオタッククリエイティブ 2018
学研の図鑑LIVE 乗りもの 学習研究社 2018

 


見ると、2000年代に入ってから数を伸ばしているのがわかります。


全ては載せませんが、こんな感じで掲載されています。

 

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小学館の図鑑NEO 乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船(小学館)2013 P90-91

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ジュニア学研の図鑑 乗りもの(学習研究社)2008  p69

講談社のMOVEや小学館のNEOなど、業界の主要な学習図鑑には、現在必ず陸上自衛隊の戦車が掲載されています。幼児向け、というわけではありませんが、各社とも図鑑の対象年齢は3才から4才を開始年齢として設定しており、幼児も対象になっている、と考えておくべきでしょう。なので、子ども向けの図鑑に陸自の車両が載る、ということ自体は、近年そこまで稀というわけではありません。

 

陸自車両割合

では、本に占める「陸自車両割合」を確認していきましょう。まず、前項で取り上げた13冊に、どの程度陸自車両が掲載されているかをグラフ化します。

 

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比べてみると歴然ですが、今回の「はじめてのはたらくくるま」が取り上げている陸自車両の数は突出して多いことがわかります。トップは「のりものスーパーずかん」ですが、これは2237台の乗り物を載せていることを考えると、やはり割合としても大きくなりそうです。

 

では、陸自車両割合のグラフを見ましょう*4

 

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グラフがちいさくて見づらいという方は、PDFの表も用意しました。

 

〇子ども向けの図鑑の仕事/車種別一覧表(陸自車両の掲載本のみ)

〇子ども向けの図鑑の陸自車両の種類

 

ごらんの通り、「はじめてのはたらくくるま」が、ぶっちぎりでトップになっています。「はじめてのはたらくくるま」は、消防関係の車両が一番多いのですが、次いで陸自車両が割合として大きいという結果です。図鑑自体の中で陸自車両がそこまで幅を利かせている例もありませんので、なるほど、車種の割に陸自車両の扱いのバランスがおかしい、というのは過去の本の比較からも言えそうです。

 

自衛隊の紹介の仕方

陸上自衛隊の車両を載せるときは2パターンありまして、

 

A.国防を強調する

B.災害支援を強調する

 

この2つのバランスを考えていることがわかります。例えば、陸自車両の紹介文は各社苦心していて面白いです。

 

陸上自衛隊には、日本と国民を守るためのくるまが用意されています。大きな災害や事故などが起きた時に、いち早く出動して対応します。

「のりものスーパーずかん2237」(学研プラス)P242

 

防衛のくるま

国民や国を守るために働くくるまです。防衛や災害の時に出動します。

「世界の働くくるま図鑑 下巻」(スタジオタッククリエイティブ)P31

 

陸上自衛隊は、日本の安全を守るため、主に地上で活動します。地震や洪水などの災害や火災・事故にも出動し、自動車や建設機械を使って、人を助けたり、復旧作業をしたりします。

「小学館NEO のりもの」(小学館)2013 P90

 

と、基本的には、「国防」と「災害」を両立して書いています。

 

しかし、そのバランスが崩れているものもあります。

 

陸上自衛隊には、安全なくらしを守るためのさまざまな車両があります。

「ジュニア学研の図鑑 乗りもの」(学習研究社)P69

 

「安全なくらし」をどう捉えるかですが、この学研の図鑑には見事に武器関係につながる車両が多く掲載されています。

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同上 P69

 

逆に、一切自衛隊の名前を出さないものもあります。

 

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チャイルドブックこども百科はたらくじどう車図鑑 いろいろ501台(チャイルド本社)P22-23

チャイルド本社のこの「はたらくじどう車図鑑」は、「きんきゅうじどう車」という章立てに「人をさいがいからすくうじどう車」として、陸自の車両を掲載しています。しかし、一切自衛隊の表記はなく、紹介する車両も武器を連想させるようなものは排除されています。

 

要するに、陸自車両を紹介するとき、各出版社はある程度バランスを考えながら、しかしその図鑑で伝えたい色のようなものを出している、というわけです。

 

 

自衛隊のイメージの変遷

ざっといくつか車の図鑑を読んでみて気付いたのは、特定の車をどのようなカテゴリで分けるのかは意外に難しいということです。基本的に多くの図鑑は昔も今も、どのような役割なのかという区分でもって作っているようですが、そのカテゴリに陸自車両がどう当てはまるのか、というのは時代の流れがありそうです。

 

例えば、学研の「ニューワイド学研の図鑑」は、1987年版では、自衛隊の車両を「とくしゅな自動車」という項目で載せています。

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ニューワイド学研の図鑑 自動車・飛行機 1987年

 

キャプションには「なかでも、戦車はよく知られています」とあり、災害の話は出てきません。1987年版は「はたらく自動車」「人を運ぶ自動車」というような章立てになっているのですが、陸自車両はそのどれにも当てはまらない、と考えられていたのです。

 

ところが、2006年版の「ニューワイド学研の図鑑」では、陸自の車両は「はたらく自動車」の章の中に入ります。

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ニューワイド学研の図鑑 自動車・飛行機・船 2006 P68

項目も「軍用車両」になり、より国防の意味の強い説明になっていることを感じます。

 

ところがところが、直接の後継ではありませんが、最新の「学研の図鑑LIVE 乗りもの」(2018)では、陸自の車両はこのように説明されています。

 

陸上自衛隊には、安全な暮らしを守るためのさまざまな車があります。大規模災害や事故が発生した時にもいち早く出動し、対応します。

「学研の図鑑LIVE 乗りもの」P129

 

最新版では、「国防」「災害」のバランスをとった形となり、野外炊具や救急車を掲載しています。これは一つ、自衛隊の持つイメージの変化が関係していそうだな、と思います。

 

それが如実に示されているのが小学館の「小学館の図鑑NEO」シリーズです。

 

乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船 〔改訂版〕 (小学館の図鑑 NEO)

乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船 〔改訂版〕 (小学館の図鑑 NEO)

  • 作者: レイルウェイ・ピクチャーズ,小賀野実,横倉潤,木津徹
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/03/29
  • メディア: 大型本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

こちらの初版は2003年なのですが、その版では陸自の車両は「いろいろな緊急自動車」という項目に「災害派遣車」のみで、他の陸上自衛隊車両は一切紹介されていません。

 

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小学館の図鑑NEO 乗りもの P87

しかし、2013年の改訂版では、災害派遣車に加え、まるまる見開き1ページを使い、「自衛隊の自動車」という項目を新設して紹介しています。

 

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小学館の図鑑NEO 2013 P90-91

 

この改定の背景について、小学館に問い合わせたところ、以下のような回答が返ってまいりました。

 

・災害支援で様々な特殊な車両を目にするようになった。

・子どもたちが車両をみてすぐ調べられるように種類を増やした。

 

自衛隊の印象というものは、昔に比べてかなりよくなっています。

 

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http://www.garbagenews.net/archives/1907077.html より

 

1980年代は7割台を推移していましたが、現在は9割近くの国民が好印象をもっています。これはひとえに、東日本大震災を代表するような、災害支援のアピールが功を奏したのでしょう。

 

これはちょっと興味深いのですが、陸自車両を載せていない図鑑でも、海上自衛隊や航空自衛隊の護衛艦や軍用機は載せていたりするんですね。

 

例えば、先ほどの「小学館の図鑑NEO」の2003年版ですが、陸自はないくせに、、航空自衛隊はちゃっかり紹介しているんですね。

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小学館の図鑑NEO 乗りもの2003 P144

他にも、幼児向けの図鑑でも、「むかしのぐんようき」という項目で「ぜろせん」を紹介したり、

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DX版幼稚園絵本絵本ずかん のりもの101×5講談社

 

海上自衛隊の護衛艦を紹介したものもあります。

 

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大自然のふしぎ 乗りもの図詳図鑑学研1995

 

最近では、幼児向けの以下の図鑑に、護衛艦の記載がありました。

 

のりものずかん (じぶんでよめる)

のりものずかん (じぶんでよめる)

 

 

てきがせめてきたときに、にほんを、まもるふねです。

前掲書 P95

 

何が言いたいかというと、やはり陸上自衛隊というのは、空自や海自に比べると、より「軍隊」らしいイメージがあり、子ども向けの本に掲載するにはためらわれる部分があったのではないでしょうか。しかし近年、災害支援を中心としたイメージの向上により、読者側のニーズも高まり、いろいろな出版社が図鑑に掲載するようになった(「災害支援」の項目にするようになった)と言えるんではないでしょうか*5

 

 

「はじめてのはたらくくるま」はどう評価できるか

以上の経緯を踏まえて、今回の「はじめてのはたらくくるま」を読み返してみましょう。ここからは個人的な意見なので、読み飛ばしてもらって構いません。

 

まず、この「はじめてのはたらくくるま」は、「はじめてののりものずかん」のシリーズのひとつです。

 

BCキッズ くわしい解説つき! はじめての のりものずかん 英語つき (ステップアップ知育ずかん)

BCキッズ くわしい解説つき! はじめての のりものずかん 英語つき (ステップアップ知育ずかん)

 

 

「はじめてののりものずかん」は以下のようなカテゴリで分かれています。

 

・しょうぼうしゃ
・けいさつしゃりょう
・はたらくくるま
・こうじげんばではたらくくるま
・まちのなかではたらくくるま
・そうじをしてくれるはたらくくるま
・いろいろなばしょではたらくくるま
・バス、じょうようしゃ、レーシングカー

 

一方、「はじめてのはたらくくるま」は、以下のようなカテゴリです。

 

・しょうぼう

・けいさつ

・こうじげんば

・いろんなばしょ

・りくじょうじえいたい

・こうくうじえいたい

・かいじょうほあんちょう

・かいじょうじえいたい

・こうそくどうろ

・いろいろなきんきゅうしゃりょう

・そうじをしてくれるくるま

 

中を比べるとわかるのですが、大幅に車種が増えたのは「しょうぼう」ぐらいなもので、やっぱり多数追加されたと感じるのは「自衛隊」の項目です。J-CASTの取材に対して講談社ビーシーの担当は、

 

そもそも自衛隊の車などを多数載せたのは、自衛隊から頼まれたことはなく、政治的な意図もなかったという。消防車も同じ分量の6ページを割いて紹介しており、働く車両が相当数載っているため、自衛隊以外でほかに探すのは難しかったとしている。

幼児向け図鑑に「戦車」は不適切? 講談社「はたらくくるま」増刷中止に疑問の声も : J-CASTニュース

 

と答えていますが、この弁明もちょっとよくわかりません。例を挙げるなら、講談社ビーシはこの「はじめての~」の前にもいくつも自動車や乗り物の図鑑を出していて、今回の「はじめてのはたらくくるま」の前身とも呼べそうなものがあります。

 

はたらく くるま 101 大しゅうごう (BCキッズ 新・はじめての ずかん)

はたらく くるま 101 大しゅうごう (BCキッズ 新・はじめての ずかん)

 

 

こちらは、

 

・こうじではたらくくるま

・はこぶくるま

・しょうぼうしゃ

・けいさつのくるま

・どうろをまもるくるま

・くらしをささえるくるま

・くらしにやくだつくるま

・バス

 

という章立てになっています。「はこぶくるま」「バス」なんかは見開きで紹介してますし(はじめての~は1ページ)、他にも紹介できそうなカテゴリがありそうにも関わらず、どうして「自衛隊」を選んだのか。政治的意図というよりは、私はそこに趣味性を感じました。

 

この本の欠点は、カテゴリの「はたらき」が弱いことです。それぞれの車に対する説明は幼児向けにしては細かいですが、しかしカテゴリについての説明がいっさいないため、車種のマニアックな説明に終始してしまっている印象です。もっと直接的に言えば、それぞれの仕事に対する敬意が感じられません。そのため、「じえいたい」の項目も、今までの図鑑で見てきたような「国防」なのか「災害支援」なのか、何を強調したいのかもわからず、突然現れる9種の武器的な車両に驚かされるのではないでしょうか。ただ、多くの出版社が気をつかってきた(ようにみえる)陸自車両をあっけらかんと使う様子は、個人や会社というより、そういう時代の流れになってきている分岐点のようなところなのではないかなあと感じます。

 

 

今日のまとめ

①「はじめてのはたらくくるま」よりも前から、子ども向けの図鑑には戦車を含めた陸自車両が掲載されている。

②ただ分量から比べた時に、陸自車両の割合は「はじめてのはたらくくるま」は断トツで多く、その意図がよくわからない。

③陸自車両をどう扱うかは出版社の思惑が関係するところが大きく、災害支援を中心とした自衛隊の活躍によって、図鑑での取り扱われ方も変わってきている。

 

だからといって、私は出版をやめたほうがいいとはやはり思えません。村上春樹はプリンストン時代にこんなことを書きました。

 

(日本では)情報が咀嚼に先行し、感覚が認識に先行し、批評が創造に先行している。それが悪いとは言わないけれど、正直言って疲れる。(—中略—)これはまったくのところ文化的焼き畑農業である。みんなで寄ってたかってひとつの畑を焼き尽くすと次の畑に行く。あとにはしばらくは草も生えない。本来なら豊かで自然な創造的才能を持っているはずの創作者が、時間をかけてゆっくりと自分の創作システムの足下を掘り下げていかなくてはならないはずの人間が、焼かれずに生き残るということだけを念頭に置いて、あるいはただ単に傍目によく映ることだけを考えて活動して生きていかなくてはならない。これを文化的消耗と言わずしていったい何と言えばいいのか*6

「やがて哀しき外国語」

 

とはいっても、こういうことは、どこの国のいつの時代も、そういえば何かしらずっと続いてきたことなのかもしれません。私もときどきは、水でもあげられたらなあと思います。

 

*1:発端と思われる新日本婦人の会の主張も、

この問題を新婦人はいち早くとりあげ、4月には、子育て中の会員らが講談社ビーシー編集部を訪ねて懇談。「29ページ中6ページも自衛隊の戦闘機や潜水艦、ミサイル護衛艦などを特集していてびっくり」「身近なはたらく車ではない」「子どもに与える影響を考えてほしい」とそれぞれの思いを伝え、編集部からは「初めてこうした声を聞いた、検討します」と回答。

https://www.shinfujin.gr.jp/9540/

という感じだったので、自衛隊滅びよという感じではありません。

*2:

今回調べた一覧はこちらです。

 

番号

書名 出版社 出版年 陸自車両
1 ちしきの絵本 のりものではたらく人たち ポプラ社 1979  
2 これ知ってるよ のりもの 文化出版局 1980  
3 五味太郎の絵本 のりもの 絵本館 1980  
4 フォト絵本 おもしろいのりもの 小学館 1981  
5 のりものずかん じどうしゃにのった 福音館書店 1984  
6 フォト絵本 のりものナンバーワン 小学館 1984  
7 えほん・ドリームランド のりものいっぱい 岩崎書店 1984  
8 小学館の育児絵本 はやいのりもの 小学館 1984  
9 小学館の育児絵本 たのしいのりもの 小学館 1985  
10 小学館の保育絵本 のりものだいすき 小学館 1985  
11 デラックス版・幼稚園絵本 のりもの101×5 講談社 1985  
12 ブルーナののりもの 講談社 1985  
13 多湖輝のなぜどうしてシリーズ のりもの・きかい 学習研究社 1986  
14 ニューワイド学研の図鑑 自動車 学習研究社 1987
15 こどもエリア 13 学習こどもずかん せかいののりもの 学習研究社 1987
16 はたらくくるま フジテレビ出版 1987  
17 はじめてのおべんきょうえほん のりものなあに 学習研究社 1987  
18 学習こどもずかん こどもエリア 6 学習研究社 1987  
19 デラックス版・幼稚園絵本 えほん図鑑くいず365 講談社 1988  
20 フォト絵本 のりものがいっぱい 小学館 1989  
21 のりものだいすき くるまはいくつ 新日本出版社 1989  
22 のりものどうしたら?図鑑 2 小峰書店 1989  
23 ハローキティえほん のりもの サンリオ 1989  
24 デラックス版幼稚園絵本 3さいの本・のりもの 講談社 1989  
25 幼児のがくしゅう百科絵本 のりものちえあそび ひかりのくに 1989  
26 のりものどうしたら?図鑑 2 小峰書店 1989  
27 学研絵とき科学シリーズ 小学なぜなぜふしぎサイエンス 20 学習研究社 1990  
28 マミイ&ベビーえほん たのしいのりもの 小学館 1990  
29 講談社パノラマ絵本 はたらく自動車パノラマ大図鑑 2 講談社 1991  
30 講談社パノラマ絵本 はたらく自動車パノラマ大図鑑 1 講談社 1991  
31 ミッキーしかけずかん のりものなあに 講談社 1991  
32 ハローキティののりものえほん サンリオ 1991  
33 主婦と生活シリーズ のりものおもしろ図鑑 主婦と生活社 1991  
34 1さいの本&3さいの本 1さいの本 2 講談社 1991  
35 2~3歳の認識えほん いろいろなのりもの ひかりのくに 1991  
36 みんなのくらし大図鑑 りくののりもの 自動車/電車/自転車 ひさかたチャイルド 1991  
37 フォト絵本 せかいののりもの 小学館 1991  
38 えくぼこれなあに絵本 これなあにのりもの50 講談社 1992  
39 はたらくのりもの202 ひかりのくに 1992  
40 のりもの202 ひかりのくに 1992  
41 えくぼこれなあに絵本 これなあにはたらくくるま50 講談社 1993  
42 のりものアルバム のりものナンバーワン100点 講談社 1993  
43 デラックス版のりものアルバム のりもの200点 講談社 1993  
44 のりものえほん まちではたらくじどうしゃ 小峰書店 1995  
45 大自然のふしぎ 乗り物の図詳図鑑 学習研究社 1995  
46 透視図鑑シリーズ 3 乗りもの リブリオ 1995  
47 ゴールデンブックのりものアルバム のりもの100点 講談社 1996  
48 ポプラ社ののりものずかん のりものだいすき ポプラ社 1997  
49 はたらくくるま インター・コミュニケーションズ 1999  
50 のりものひみつ百科 のりものひゃっか ひかりのくに 1999  
51 ももちゃん・はなちゃんシリーズ のりものえほん リーブル 1999  
52 はっけんずかん のりもの 学習研究社 1999  
53 はっけんずかん 「のりもの」 小学館 1999  
54 ふしぎ・びっくり!? こども図鑑 のりもの 学習研究社 1999  
55 あそびのおうさまずかん のりもの 学研教育出版 2001  
56 超はっけん大図鑑 はたらく車 ポプラ社 2002  
57 小学館の図鑑NEO 乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船 小学館 2003
58 のりもの写真えほん のりものあつまれ! 鉄道・自動車・飛行機・船が大しゅうごう 成美堂出版 2003  
59 のりものいっぱい こぐま社 2003  
60 BCキッズ新・のりものがいっぱい まちではたらくくるま 講談社 2004  
61 のりもの写真えほん のりものあつまれ! 成美堂出版 2005  
62 のりもの写真絵本⑥ あたらしい自動車図かん 成美堂出版 2005  
63 ニューワイド学研の図鑑 自動車・飛行機 学習研究社 2006
64 21世紀幼稚園百科[新版] はたらくのりもの 小学館 2007  
65 チャイルドブックこども百科はたらくじどう車図鑑 いろいろ501台 チャイルド本社 2008
66 ジュニア学研の図鑑 乗りもの 学習研究社 2008
67 こども絵本エルライン 乗り物ずかん JTBパブリッシング 2008  
68 ぜんぶわかる自動車大集合!ものしりずかん 成美堂出版 2008  
69 Super Kids Hyakka はたらくくるま ひかりのくに 2008  
70 のりもの写真絵本⑥ あたらしい自動車図かん 成美堂出版 2009  
71 のりもの写真えほん⑤ のりものあつまれ! 成美堂出版 2009  
72 最新版のりもの100点 講談社 2010  
73 BCキッズ新・はじめてのずかん はたらくくるま101大しゅうごう 講談社 2010  
74 はたらくくるま だいしゅうごう100 ポプラ社 2011  
75 講談社のアルバムシリーズ のりものアルバム⑦ 新訂版自動車100点 講談社 2011  
76 チャイルドブックこども百科のりものいっぱい図かん いろいろ501台 チャイルド本社 2012  
77 小学館の図鑑NEO 乗りもの 鉄道・自動車・飛行機・船 小学館 2013
78 うごく!はたらくくるま最強ずかん 学研教育出版 2013  
79 はたらく車のしくみ・はたらき・できるまで 2 岩崎書店 2014  
80 のりもの写真えほん⑥ あたらしい自動車ずかん 成美堂出版 2014  
81 ポプラディア大図鑑WONDA 自動車・船・飛行機 ポプラ社 2014  
82 のりものくらべ はたらく車 偕成社 2015  
83 のりものスーパーずかん2237 株式会社学研プラス 2015
84 こども写真ひゃっか あつまれ!じどうしゃ 永岡書店 2015  
85 子ども絵本エルライン①乗り物ずかん JTBパブリッシング 2015  
86 講談社のアルバムシリーズのりものアルバム(新)9 最新版はたらく自動車100点 講談社 2015  
87 BCキッズ くわしい解説つき! はじめての のりものずかん 英語つき (ステップアップ知育ずかん) 講談社 2016  
88 くらべるしらべるずかん はたらくじどう車 あかね書房 2016  
89 こども絵本エルライン 町ではたらく車 JTBパブリッシング 2017
90 講談社の動く図鑑MOVE 乗りもの 講談社 2017
91 世界の乗りもの大図鑑 河出書房新社 2017
92 増補改訂版 BCキッズ おなまえ いえるかな? はじめてのずかん555 英語つき (BCキッズおなまえいえるかな?) 講談社 2017  
93 はじめてずかん415 英語つき: しゃしんがいっぱい! 小学館 2017  
94 マイポケットコレクション はたらくくるま ポプラ社 2018
95 はじめてずかん のりものな~に? 永岡書店 2018  
96 世界の働くくるま図鑑 下巻 スタジオタッククリエイティブ 2018
97 じぶんでよめる のりものずかん 成美堂出版 2018  
98 はじめてずかん これ、な~に?650 永岡書店 2018  
99 学研の図鑑LIVE 乗りもの 学習研究社 2018  
100 トミカジオラマ大図鑑 はたらくじどうしゃ 永岡書店 2018  
101 トミカじどうしゃ大図鑑 永岡書店 2018  
102 学研の図鑑LIVE 乗りもの 学習研究社 2018
103 のりもの大集合ミニ 自動車ベスト88 講談社 2019  

*3:ページ数だと「1ページに2台」などの場合にばらつきが出てしまうので、車両数にしました

*4:

ニューワイド学研の図鑑が掲載されていないのは、他の車種を私が調べ忘れたからなので、気が向いたら付け足します。「はじめてのはたらくくるま」が割合として大きいという結果は変わらないはずです。

*5:

また「のりもの」図鑑だと、海自と空自を載せて陸自だけないというのはいかにもバランスが悪く、そこの打開策を考えたかったということもあるでしょう。

*6:

書き写すのが面倒で、こちらから拝借しました。

TORAO.doc: 「文化的焼き畑農業」について考えました