ネットロアをめぐる冒険

ネットにちらばる都市伝説=ネットロアを、できるかぎり解決していきます。

高齢者の学び直しに5000億円使われるのか、滅びの言葉は誰が言う

「高齢者」という言葉ができてからどれほど経ったのかはわかりませんが、何かと批判に立たされることも多くなってきた高齢者たちの今日この頃。こんなツイートがありました。

 

 

読売新聞の「「学び直し教育」推進に5000億円…大幅拡充」という記事に、以下のような文章があり、

 

 出産・育児で退職した女性や定年退職した高齢者らがビジネスの技能を磨く「リカレント(学び直し)教育」推進のため、政府は2019年度以降に約5000億円を投入する方針を固めた。

「学び直し教育」推進に5000億円…大幅拡充 : 政治 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

 

それにからんでのツイートのようです。

 

前にこの方のツイートについて取り上げたことがありますが*1、少々イメージで語りすぎではないかと思い、主に次の点、

 

・学び直しの対象は「定年後の高齢者」なのか

・5000億円あれば国立大を全部無償化してもお釣りが来るのか

・授業料は昭和50年から15倍も値上がりしているのか

 

について、事実を検証してみました。

*1:

 

www.netlorechase.net

 読み返すと、言いがかりのような記事で、できは悪いです

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多産の勲章を制定している国をまとめてみた、我々は患者である

少し前になりますが、「子ども4人産んだら表彰」といった自民党議員に対して批判が集まりました。

 

www.huffingtonpost.jp

 

記事では、「Twitter上で「ナチスと同じ発想」などと批判する声が挙がっている」という声を紹介していましたが、フランスをはじめとした他の国でもこの「勲章」の制度があるため、少々フェアな書き方ではないなと思いましたので、以下のように呟いたところ*1

 

 

反応がまあまああったので、しっかりまとめてみようと思います。

*1:「Серебряная подвеска」をタジキスタンの話としてあげましたが、これはカザフスタンの「シルバーメダル」のロシア語名であり、国も名称も間違えています。すみません

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「李下に冠を正す」という誤用はあるのか、うまいことは既に誰かが言っている

全く足立議員に興味はないのですが、「李下に冠を正さず」の使用法について、ちょっと話題になっているようですね。以下のツイートが気になりました*1

 

 

発言については、以下のもののようです。

 

足立議員は「『李下で冠を正した』安倍首相を、『犯罪者たち』が取り囲んで非難しているのが、今の国会だと思う」と述べた。

獣医師会から献金の議員を「犯罪者」(FNN)

 

 

私が気になったのは、果たして足立議員のこの使用法は誤用なのか、そして、「李下に冠を正す」を「いいこと」と勘違いしている人は「それなりにいる」のかということです。

 

*1:

「爆笑」について、一人で笑うのに「爆笑」はいかがなものか、というリプもありましたが、「爆笑」の用法については議論の余地があるでしょう

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Twitterは規制されるのか、見えない敵と戦うならば

Twitter

座間の9遺体の事件での菅官房長官の発言が物議を醸しています。

 

www.jiji.com

 

今回はTwitterでの自殺幇助のやりとりが問題になっており、「年内をめどに再発防止策を取りまとめる方針で、ツイッターの規制なども検討する」と、記事内に書かれており、ツイッター民が「話がずれている」などと批判が巻き起こっています。

 

一方で、「そんなことは言っていないのではないか」というような話*1もあり、今回はそこんところをまとめてみたいかと思います。

 

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【追記】ジョブズがiPodを水没させる逸話はウソである、フェイクだっていいじゃない

【2017/10/25追記】

久しぶりにバズッたので、ナイチンゲールの呪いにかかっている私としては戦々恐々としながらはてなの通知欄をみております。

 

はてぶで、今回指摘したSONYのハンディカムのCMに、高篠氏のエピソードが使われていることを教えてくれた方がいました。情報提供ありがとうございます。みんな知ってるものですね。

 

動画のURLははてブでご確認いただくとして、内容は以下の通りです。

 

(木を彫っている男性)

人々は、どのようにしてその小さなハンディカムを作ったのか、私に問う。

私はまず、正しいサイズを見つけることだと人々に答える。

そして私はヘッドエンジニアにそれをつくるように伝える。

(木彫りのハンディカムらしき模型をエンジニアに渡す)

過酷な努力の末、数ヵ月後にヘッドエンジニアはそのプロトタイプのカメラを私に持ってくる。私はそれをテストする。

(ハンディカムを手から落とす男性。カメラが水槽の中に落ちる。金魚が泳いでいる)

もし、泡が出てくるようなら、私は彼に言う。そこにはまだ、空間がある。

(底につくカメラ。泡がひとつでる)

もっと、小さくつくりなさいと。

(SONYのロゴ)

 

このCMが、果たして指摘したDCR-PC7のものなのかは皆様の記憶を頼りにしなければなりませんが、そうだと思いたいですね(出演している人はまさか高篠氏本人でしょうか?)。

 

SONYの中では知られた逸話としてあり、広報がそれをCMに使用し、なかなかインパクトのある広告ですので、世界でもこの話が広まっていき、ジョブズの話とすり替わった、というところなんでしょうかね。CMでは思い切り水に落としているし、金魚が泳いでいるので水槽だという形で広まっていることも納得です。慎重な書き方をするなら、現在確認可能なこの逸話の大元は、ハンディカムの当時のソニーのCMだ、といえるでしょう。高篠氏の発言を信じるなら、水に実際に落としたというエピソードは演出という事になるでしょう。

 

また、記事タイトルにもつけた「フェイクだっていいじゃない」については、少々言葉足らずだったかなと思い、反省しています。エクスキューズはあまり好きではないんですけど、私の真意は、最後に載せた、紺先輩の「知らねーよ!だけど私は信じてるんだ!」に集約されます。フェイクが拡散され、情報が劣化し、剽窃されていく姿は好ましいものではありませんが、それを信じたいと思う人の心までを、私は否定したくはない、ということです。正すべきは情報や行為であり、その人そのものではありません。だから、紺先輩の言葉を私は好きではありますが、それが正しいとまでは思っていません。私のいいたいことは書くと長くなるので、小林秀雄の「信ずることと知ること」(『考えるヒント3』に収録)を読んでください。

 

【追記ここまで】

 

私の好きな『それ町』の石黒正数さんのtweetを最近フォローしているのですが、こんなジョブズの逸話を紹介していました。

 

 

リプライでアイフォンではなくiPodの話だという指摘がありますが、ジョブズが、これ以上小さくできないという技術者の泣き言に、水に沈めるという荒っぽい方法でチャレンジを促すという内容のものです。ジョブズっぽいエピソードと言えばそうです。

 

しかし、逸話や伝説は常に眉唾で聞くワタクシなのですが、調べてみるとどうも逸話は存在するものの、ジョブズではないということがわかりましたので、石黒先生にお伝えするべく記事を書きました。

 

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検証が好きな人へのオススメの本

今日はネットロアに関係のない話。

 

私は、「わたし、気になります!」の人なので、特に褒賞もないのに趣味でこんなブログを運営しておりますが、世の中にはそういうのを仕事にしている方もいらっしゃいます。取材費とか出るのかなあ、いいなあと思うのですが、きっとそういう人も、やっぱり「わたし、気になります!」の人なんだろうなあとも感じます。

 

今日はそういう検証が好きな方へのオススメ本を紹介したいかと思います。Amazonのリンク先はアフィがかかってるので、ご留意ください。

 

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朝日新聞は加戸氏の発言を報じていないのか、公正な報道などない

私は、自分で使っていながら、あまり「ファクトチェック」という響きが好きではありません。私がしていることは、以前もどこかで書きましたが、そんな仰々しいものではなく、どちらかというと知的好奇心による推理ゲームに近いものです。

 

10月8日の党首討論会の折に、そんなファクトチェックを、安倍さんが国民に呼びかけたんだとか。内容としては、朝日新聞が、加計学園での加戸前愛媛知事の閉会中審議での発言をほとんど報じていない、というものです*1

 

朝日はこんな風に反論しています。

 

 加戸氏については、閉会中審査が開かれた翌日の7月11日と25日付の朝刊で、国会でのやりとりの詳細を伝える記事で見出しを立てて報じたり、総合2面の「時時刻刻」の中で発言を引用したりしている。

www.asahi.com

 

このことに関しては色々なメディアが取り上げています。報じてるよという論調のものもあれば、

 

 朝日新聞は7月10日の閉会中審査翌日、東京本社発行の朝刊で審査のやりとり詳報を掲載。「愛媛は12年間加計ありき」との見出しとともに、加戸氏の発言を載せている。同月24日の衆院閉会中審査では、翌25日朝刊総合面に「黒い猫でも白い猫でも、獣医学部をつくってくれる猫が一番いい猫」との加戸氏の発言を掲載した。

首相、加計で朝日批判「加戸証言全く報道せず」:どうしん電子版(北海道新聞)

 

アリバイ程度にちょろっと書いているだけだろう、

 

このように「八田達夫」と「加戸守行」は閉会中審査の模様を伝える記事に出てくるだけである。これに対して「前川喜平」はほかの記事にも登場し、12件あるいは13件の記事全体のトーンは「政府は疑惑に正面から答えていない」である。

朝日新聞の報道をファクトチェックした – アゴラ

 

というものもあります。

 

私は本当に政治に興味がなく、加計学園の読み方すら知らなかったのですが、この件に関しては、各社どのように報道したのか気になったので、調べてみました。

 

*1:

八田氏についてもありますが、今回は取り上げません。範囲が広がって調べるのがかなり大変になるからです。

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