序論
当ブログは噂が広まったあとに検証をするものであり、ネットロアを防ぐものではありません。
しかし無辜の人々が噂に翻弄されることには心を痛めております。
例えば読売ペヤング事件は、記者の真意が理解されず歯痒い思いがいたしました。常に市民の味方であるはずのナベツネ率いるメディア集団が、カップ焼きそばの作り方も知らないのかと糾弾されることに、部外者ではありますが、怒りを感じます。
大体みなさん、新聞記者のイメージって、汚い部屋にタバコの煙と食いかけのカップヌードルじゃありませんか?私の中では『クライマーズ・ハイ』が近いです。
そういう連中が作り方を知らないなんてことがあるでしょうか?私はネットの「読売=貴族的階級」論に異を唱えたい。
確かに文章は稚拙であったかもしれない。しかし、我々に求められるのはできるだけ好意的に解釈して、記者の真意を探ることなのではないでしょうか。
読売ペヤング事件の概要
まずは、今回の読売ペヤング事件についておさらいをしたいと思います。
6月9日付で、8日に発売が再開されたまるか食品の「ペヤング」について、「全日本ペヤング愛好会」なる団体の取材を通して市井の人々のペヤングに対する思いをつづった記事です。問題になったのは以下の箇所。
販売再開を祝おうと、ペヤングファン約180人で作る「全日本ペヤング愛好会」のメンバー4人は8日午前、東京都台東区の飲食店に集合した。四角い容器に熱湯を注ぐと、店内に食欲をそそるソースのにおいが立ちこめる。
同会広報担当の松嶋可奈さん(38)は、「香ばしいソースと歯ごたえのある麺がたまらない。もう待ちきれない!」と興奮を隠せない様子。3分が経過すると、4人は勢いよく麺をすすった。
すでに元記事は消されしまったので、確認できるのはガジェット通信の記事のみですが、「四角い容器に熱湯を注ぐと、店内に食欲をそそるソースのにおいが立ちこめる」の部分に、「ソースとお湯を一緒に入れるのか」「こいつは食ったことないのか」とツッコミが入ったわけです。
その後記事は修正され、
同会広報担当の松嶋可奈さん(38)は、「香ばしいソースと歯ごたえのある麺がたまらない。もう待ちきれない!」と興奮を隠せない様子。四角い容器に熱湯を注ぎ、3分が経過する。4人が勢いよく麺をすすると、店内に食欲をそそるソースのにおいが立ちこめた。
となりましたが、「湯きりしないのか」とツッコミが絶えず、あえなく記事自体が削除されてしまったわけです。いわば、メディアが世論に屈したわけです。
事件の好意的解釈による5つの仮説
メディアは常に権力との闘いです。私には何らかの事情でこのように書かざるを得なかった記者の心情を、五つの仮説に基づき説明していきます。
1.本当にお湯とソースを一緒に入れた説
メディアは正確な情報を伝えることはもちろんですが、我々に新しい視点を与えることも重要な役割です。
一体誰がペヤングのお湯を切り、ソースを後に入れると決めたのか。それはまるか食品という大企業=権力*1です。メディアは決して既得権益を持つ権力に屈してはならない。だからこそ、読売はあえて通常とは違う食べ方を提案することで、今回の一連のペヤング異物混入事件に対して、風化させてはならないというメッセージを込めたのです。
しかもそれはただ反体制というイデオロギー的価値だけではなく、新機軸の食べ方を提案することによって、新しい時代の幕開けを予感させるパラダイム・シフト的な側面も持っています*2。このようなパイオニアとしての精神を、誰が貶めることなどできるでしょうか。
2.文学的省略説
新聞記事というのは、その紙面的制約から字数が限られており、常に職業的省略が求められています。その意味では、俳句や短歌と言った芸術作品と比べられることもあるかもしれない*3。
今回の記事も、我々は芸術作品を読み解くように、言外にこめられた記者の思いを読み取るべきではないでしょうか。
問題になった一文を見ましょう。
四角い容器に熱湯を注ぐと、店内に食欲をそそるソースのにおいが立ちこめる。
あくまで推測の範囲でしかありませんが、おそらく記者はこのように書きたかったのではないでしょうか。
四角い容器に熱湯を注ぐと、彼らはふたを閉め、3分が過ぎるのを待つ。3分。それは日常の中では何気なく過ぎてしまう無為の時間だ。しかし今、その3分というささいな日常の時間を待つ。待つという行為自体に意味がある。太宰治がその小説の中で日米開戦に潜む人間の心を暗喩したように*4、「待つ」という行為は至極人間的で、そして社会的行為なのだ。時計のベルがなり、彼らはいっせいに湯きりを始めた。「ボコッ」という、あの懐かしい響きが部屋にこだまする。そして、丁寧に小袋を切り、茹で上がった麺にゆっくりとネイビーブラウンの液体をかける。そう、この液体こそがペヤングソースpairyoug sauceであり、ペヤングの長年にわたる技術の結晶なのだ。店内に食欲をそそるソースのにおいが立ちこめる。
いかがでしょうか。記者はシンクの「ボコッ」という音と、ソースのにおいを対比させることにより、このペヤング再開という至福の時を、本来演出したかったことが分かるかと思います。この行間の意を汲み取らずに、ただやみくもに批判をすることは愚の骨頂といって差し支えないと思います。
3.メタファー説
今回問題になっているのは「ソースのにおい」の部分です。このソースは本当にペヤングのソースなのでしょうか。メディア関係でソースといったら、やはりそれは「情報源」を指すのではないでしょうか。つまり、この記事自体が何らかのメタファーになっているというわけです。
では、いったい何のメタファーになっているのか。
それはやはり、昨今話題の安保法制ではないでしょうか。まず「全日本ペヤング愛好会」の会員数が180人いるということ。「180 戦争」でググって見ると、五月三十日に行われた安保法制反対のパレードの参加人数180人が引っかかります。
広報担当の松嶋さんの歳は38歳とのことですが、38といえば、やはり北朝鮮と韓国の軍事境界線が連想されます。
また、ペヤングの語源はPair+Young、つまり若者の徴兵制を示し、台東区の飲食店という表記は、そのような軍事的勢力が「台頭」してくることを暗に示しているものと思われます。
つまり、この記者はペヤングの記事の中で、近々日本で軍靴の足音が聞こえてきて、大規模な戦争に巻き込まれることを暗示しているわけです。な、なんだってー
4.愛好会黒幕説
そもそも「全日本ペヤング愛好会」とは何者か。
ググって見ると、愛好会のfacebookが見つかります。1月に書かれた産経の記事*5によれば、3年前にある会社社長さんが立ち上げたものだとか。
もうこの時点で、何かこう、権力的な何かとのつながりを感じます。記者はもしかして、それを暴こうとして、この記事を書いたのではないでしょうか…。これ以上は、身の危険を感じるため、この件については触れないようにします。
5.JANJAN説
エースコックの商品にJANJANというものがあります。
この商品の特徴は、麺にソースが練りこんであることです。つまり、湯を入れた時点で「ソースのにおいがたちこめる」ことが可能になるわけです。
つまり、愛好会の人たちは、ペヤングを食べているつもりが、この記者の特殊な能力か何かで、「いつからペヤングを食べていると錯覚していた?」状態になっていて、JANJANを食べさせられたわけです。
つまり、そこには読売新聞とエースコックの何らかの癒着があったと考えるのが自然でしょう。もしかすると近々、大規模な地検による強制捜査が近いのかもしれません。
結論
以上、5つの説はいかがだったでしょうか。
このような事件は、だいたい真相がうやむやにされてしまい、あとは都市伝説のみが残るだけですが、真実はいつもひとつです*6。これからも我々は真相追究の手をゆるめることはありません。
*1:http://www.peyoung.co.jp/company/を見る限り、大企業ではないかもしれないが、瑣末なことである。
*2:読売新聞流ペヤングの作り方が激ウマ!? お湯を捨てないだけでペヤングがあっさりラーメンに大変身! | ロケットニュース24 に詳しい
*3:ないかもしれない
*4:『待つ』昭和17年
*5:【話題の肝】ペヤング騒動から1カ月、愛好家に広がる“禁断症状”… 同じ味求め袋麺乗り換え、ネットで高値売買(1/4ページ) - 産経ニュース
*6:結局記者のテキトー記事だったということかもしれないということは秘密です。