昨夜の地震について、ツイッターで「人工地震」がトレンドとして挙がっていました。その前の夜も同じように緊急地震速報が鳴ったことも関係しているのでしょう。
「人工地震」のYahoo!検索(リアルタイム) - Twitter(ツイッター)をリアルタイム検索
ざっと検索してみると、「こんなワードがトレンドになるなんて日本の教育の敗北だ」「頭おかしいヤツが多いんだな」みたいなコメントが多かったのですが、「人工地震」というトレンドは、そのような批判コメントも含んでしまうため、実際に肯定的に捉えている人がどれほどいたのか、というのを調べてみました。今日は短く書けたので、まとめはなしです。
肯定・否定の割合
今回の地震は以下のものです。
6日01時57分ころ、地震がありました。
震源地は、千葉県北西部(北緯35.6度、東経140.1度)で、震源の深さは約70km、地震の規模(マグニチュード)は5.0と推定されます。
ツイートは、地震発生時の5月6日1:57AMから、私がトレンドを確認した9:20AMまでを対象とし、「人工地震」というワードが含まれているものを対象としました*1。
RTを除外すると、総数は2945件です*2。今回はかなりざっくりやったのですが、
否定派:「人工地震」なんてありえないというものから、「これはアベの陰謀だ!」のような、茶化したニュアンス*3も含む
肯定派:「これは人工地震だ」という断定的なものから、「もしかして人工の地震?」「わかんないけど、人工地震だったら怖い」のような弱いニュアンスも含む
その他:「人工地震って何?」という疑問のツイートや、今回の件とは直接関係ないものまで含む
と、区分しています。
結果は以下の通りです*4。
圧倒的に否定派のツイートが多いことがわかります。
時系列でみる
このツイートを、今度は時系列でどのように変わっていっているかを確認してみます。
「肯定派」のツイートは、地震直後の2時台に多いことがわかります。ツイートの内容を見ると、どうやらこの日付を予言していたツイートがあったようで、それに対する言及や、「昨日と同じ地震じゃないか!」というところから、陰謀論的に考えるツイートなどが目立ちます。というか、この時間帯までに200件あまりの肯定的ツイートが呟かれており、検索対象の半数以上が発生直後である、ということは留意する点でしょう。
否定派ツイートは、もちろん発生直後もあるのですが、それよりも尻上がりに伸びていくのが7時台以降です。9時台は20分までしかとってないために減り気味ですが、地震直後を抜かせば、Googleトレンドを見ても、7時台に2つ目の山があることがわかります。
これはもちろん、人々の活動時間と合わさっていることも理由の一つですが、影響力のあるツイートが拡散され始めたのもこの時間帯以降だからでしょうか(ゴルゴ13のコラとか)。一方で、肯定的ツイートはほとんど呟かれなくなります。
トレンド入りした正確な時刻は不明ですが、3時ごろにトレンドを確認した人がいるので、そこらへんからでしょうか。しかし、この時間のトレンドについても、「否定派」ツイートが、「肯定派」ツイートの2倍以上を占めているので、そもそも「肯定派」ツイートについては、一番多かった時間にしても、割合としては少ないことがわかります。
「人工地震を否定するツイート」がトレンドを作り出した
そのため、この「人工地震」のトレンドは、「人工地震なんだ!」という人が多いわけではなく、それを否定したり揶揄したりする人のツイートが増えたために作り出されたトレンドだということです。これはなかなか皮肉な話ではないでしょうか。
前の記事で、サザエさんのGW回を同じように検証しましたが*5、あのときは、「炎上をつくりだすマッチポンプ的なメディアはけしからん」という流れがありました。しかしどうでしょう。例えば今回のツイート群を見ると、「人工地震を信じている」というツイートは圧倒的に少ないわけです。むしろ人々がツイートしているのは、「人工地震を信じている」という仮想の人物を想定したツイート(もしくは自分の見聞きした範囲のみ)が圧倒的だったわけです。「炎上」というものの定義は難しいところですが、「炎上」状態の雰囲気を作るのは、なにもメディアだけのお家芸というわけではないのです。
意地悪な言い方をすれば、情報の正確性を考えるという点から見ると、「人工地震を信じる人」も、「こんなに「人工地震」を信じるヤツが多いなんてけしからんという人」も、立場としては同じではないでしょうか。むしろ私は、「人工地震を信じる人」を、悪しざまに罵るようなツイートの多さに、暗い未来を感じます。